熟練者育成へ、職業訓練を重視するビントゥアン省

ビントゥアン省は、地域産業に優秀な労働力を提供する職業訓練を、産業振興の重点目標に掲げているが、その実施にはいくつかの課題がある。

写真㊤=職業訓練は、2021年から25年にかけて重点的に実施される

同省商工局の担当者によると、大人数の労働力を必要とする大企業は支援の対象になっていないが、その中で職業訓練事業は、企業のニーズに応えるものでなければならない。現状、産業振興といえども、農村部の作業所に対する労働訓練の資金を支援するものにすぎない。

地方自治体の中でも、区や町の職業教育センターでは、訓練後に労働者へ証明書が付与されるため、多くの企業が参画している。職業訓練で産業振興を目指すのであれば、より集中的な訓練を行う必要がある。

同省商工局のデータによると、2013年から20年の間、省の産業振興プログラムでは6億5451万ドン(約312万円)の資金を投入しながら、訓練を実施したのはわずか570名だった。分野は工業品やウール製品の縫製、土木などだ。一方で、南東部の省の産業振興プログラムでは、生産現場のニーズに応じて5000人の労働者を訓練し、管理職や技術者、職人、熟練者による派遣チームの結成を目標としている。

◇足りない予算
さらに、この産業振興プログラムでは、農村部の要望に応じた短期間の職業訓練コースを支援し、理論と実践を結びつけて、雇用の創出とスキルの向上を図ることも目的とする。訓練は4つのタイプの企業に焦点を当てており、具体的には、多くの雇用を生み出す企業、観光や輸出向けの製品を製造する企業、伝統的な工芸品を修復・製造する企業、新たな専門職を生み出す企業だ。

プログラムの実施予算は68億2000万ドン(約3300万円)と推計されるが、国や地方からの支援予算ではそれぞれ11.41%、10%しか賄えず、予算不足の状態だ。

こうした課題がある中でも、ビントゥアン省商工局は、企業や作業所による熟練者への需要が高いことから、職業訓練を2021年から25年における産業振興の6つの重要要素の1つと位置づけている。熟練者の教育や企業の能力向上に資金を投入するが、同省はとりわけ、技術的な実証モデルの構築や機械・設備の導入に資金の大部分を費やす。

目標達成に向けては、実際の訓練や地域のニーズに即した仕組みや政策を積極的に実施し、承認された省の産業振興プログラムに従って、年間予算とのバランスを図っていく。