環境配慮型、紙製食品包材の開発進む

ベトナムでは、環境に配慮した高品質な食品包材の生産プロジェクトを試験的に実施し、輸入品への依存度低減を目指している。

◇環境への配慮
商工省からプロジェクトリーダーに任命された、紙パルプ産業研究所のカオ・ヴァン・ソン副所長(博士)は、「ベトナムの消費者の食の安全への意識は高まっている」と指摘したうえで、「今、消費者が最も注目している製品の1つが食品包装であり、特に紙の食品包材に関心が集まっている」と説明する。

写真㊤=商工省で行われたプロジェクトミーティング

紙の食品包材には、軽量で耐熱性があり、安価で食品適合性が高いなど、多くのメリットがある。とりわけ、リサイクルが可能で、自己分解性があることが特徴だ。しかしながら、紙の包材は、湿度の高い環境ではすぐに劣化してしまうため、パラフィンやポリエチレン、アルミなどをコーティングする工程が必要だ。ただ、この工程を加えることで、耐熱性が下がったり、コストが上がったり、リサイクルが難しくなる課題もある。さらに、これらの包材には、主に無菌包装の生産ラインが適している。

ベトナムが推進するプロジェクトの狙いについて、ソン氏は「国内市場向けに環境に配慮した生産を確立し、輸入品への依存度を下げることが目的だ」と語る。

◇信頼を得るために
プロジェクトではこれまで、乾燥食品を直接包装する高品質な食品包装紙(白色、茶色の2ライン)を製造する技術プロセスについて、実験室と生産ライン(年産500トン)で研究を行い、技術を完成させた。また、乾燥食品用の食品包材を安定した品質で、30万569kgを試作することにも成功し、総生産量の99%以上を売り上げた。


プロジェクトで開発した製品

ソン氏は、「これは新しいタイプの製品であるが、徐々に国内顧客の要求を満たし、信頼も得られてきている。このことは、企業が競争力を高め、一部輸入品からの置き換えを可能にするために、この生産ラインに投資を行う理由になる」と期待を寄せる。

さらに、この技術には、環境への影響や騒音が少ないというメリットもある。ソン氏は、「今後も私たちは技術の改良を続け、品質を確保するために厳格な検査を行っていく。そして、製品価格の引き下げ、ブランドの構築と普及、ターゲット市場の開拓を続けていく」と語った。

紙製の新しい食品包材は、耐久性だけでなく、食品の安全性や栄養の保持、抗菌性といった機能も備えている。