製造者責任の追及、明確に 来年1月施行の環境保護法 循環型経済実現の期待高まる

使用後、不要になった製品の収集とリサイクル、廃棄物としての処理などの責任を、製品の製造会社や輸入業者などに課す拡大生産者責任(EPR)の規制によって、ベトナムにおける固形廃棄物やごみの管理が今後大きく変わると予想される。製品購入者の負担が大きい現状を変え、企業責任を明確になることで、企業の関与も大きく進み、経済の循環の促進につながることも期待できそうだ。

昨年11月に国会で採択された環境保護法2020は、2022年1月1日発効し、環境保護に関する多くの政策を変革、改良することになる。特に第54条と55条に規定される「拡大生産者責任」についての規制は、固形ゴミ管理システムの改革を加速させ、少しずつ、ベトナムにおける資源再利用産業の形成につながると期待されている。

すでにベトナムでは、製品に不備があったときのリコールと、その際に廃棄される製品の処理費用を、製造企業が負うとする製造者責任規制が取り入れられている。しかしながら、現状では、製造業者や製品の輸入業者は、責任を購入した消費者に押し付けているところが大きかった。企業は、不要になった家電製品を廃棄する際の収集場所を設けたと胸を張るが、例えばパナソニック・ベトナムはが設置した収集拠点は全国でたった7カ所に過ぎず、しかも購入者自身が不用品をそこまで運搬しなければならない。韓国系のサムスン電子も同様に、収集場所は5つの省と市に12カ所と限定的で、運搬は委託できるものの、その費用は購入した消費者負担とされていた。その結果、購入者は廃棄製品を収集場所に運んだりする手間や運搬費用の支出を敬遠し、使用期限切れや故障した製品を廃品物の回収業者に売るという結果になった。

天然資源環境省のファン・トゥアン・フン法整備局長は、現在の法律では製造者や輸入業者が負うべき責任の詳細が定義されておらず、「企業が責任回避できる抜け穴が用意されている状態だ」と指摘する。一方で、まじめに製品の廃棄に取り組むと、消費者は2度負担を押し付けられることになる。言われた通りに、収集場所まで製品を運んでいけば、廃品回収の業者らに売って得られるはずの金額を失ううえ、運送費まで負担させられてしまうのだ。

フン法整備局長は、拡大生産者責任の基本的な考え方は、このような抜け穴を防ぐものだと説明する。今後は、企業に3つの選択肢が与えられることになる。一つ目はリサイクルの全工程を企業が自社責任で行うというもの。それができない場合は、ベトナム環境保護基金に財政支援を行うか、政府の認可を得た製品リサイクル組織を通じて、製品の回収やリサイクルを展開する、というものだ。

フン法整備局長は、拡大生産者責任はまた、プラスチックゴミを含むゴミのリサイクルを拡大する重要な要因である経済資本の循環と多国間の協力を促進することができると期待。

「拡大生産者責任の考え方は、ベトナムが目指している循環型経済の基盤として重要なメカニズムだ。このなかで、問題の一部分であり、同時に解決の一部分でもある製造企業は、自分たちが製造、販売する商品の利用後の廃棄物や包装資材などの副産物のリサイクルの責任を担うことになる」と話す。