ベトナム郵便など4社、コメ820トンを配布 コロナで影響受けた市民に

新型コロナウイルスの感染拡大のために打撃を受けた市民らを救援しようとベトナム政府と情報通信省が提唱したのを受けて、ベトナム郵便会社と協力企業の計4社はこのほど、ベトナム南部のホーチミン市と7つの省で、コメの寄付活動を行った。郵便局員や地域当局も協力し、ロックダウンの対象となった地域の住民など計27万3000人に、コメ約820トンを配った。

ベトナム郵便の寄付に協力したのは、EMS(国際スピード郵便)、損害保険大手の郵便保険(PTI)と、東南アジア商業銀行(SeABank)の3社。当初は700トンのコメを、ホーチミン市、ビンズオン省、ドンナイ省、タイニン省、ロンアン省、ティエンザン省、バリアブンタウ省の23万3000人に提供する計画で、8月5日に活動が始まった。8月11日には、コメの量を120トン増やし、ベンチェ省も寄贈対象地域に加えられた。新型コロナの深刻な影響を受けた失業者や、経済的に困窮した世帯、高齢者や身体障がい者、コロナでアルバイトや仕事が激減した学生やフリーランスの労働者らが配布対象とされた。

8月初旬以降、ベトナム郵便は各地の地元当局と連携し、無料のコメを、迅速に、必要な人々に届けるよう活動してきた。ベトナム郵便のチュー・クアン・ハオ社長は、このプログラムを通じて、新型コロナの影響を受けた人々を励まし、窮状を和らげたいとのねらいがあったと話す。

「ベトナムには弱者の支援を促す『健やかな葉は破れた葉を包む』ということわざがある。今回の活動はこのことわざを具現化する意義深い人道的支援であると同時に、国の郵政事業者としての務めだ」とハオ社長は信念を語った。

ホーチミン市5区に住むボー・タイン・リエムさんは、国の経済支援を受けて家賃と電気代、水道代を支払うことができたほか、コロナ禍にあって地元当局やさまざまな組織、企業の支援を受けることができたと安堵の表情を見せた。リエムさんはベトナム郵便などによるコメの無料配給を受け取って、「私のような人間が社会から忘れ去られていなかったと分かって心強かった」と話す。

感染者の多いホーチミン市では、ロックダウンや自宅隔離の対象となった地域で、郵便局員らが地元当局と協力。「コメを迅速に安全に配るために部下らが奔走した」と、ホーチミン市郵便局のグエン・チー・トゥ・バン局長は説明した。

ドンナイ省郵便局のズオン・チー・ビェット・フォン副局長によると、ドンナイ省では郵便局員らに加え、地元人民委員会、祖国戦線や赤十字、青年団などのメンバーらも協力し、コメの配布を行った。「コメを渡した方々から、たくさんの感謝や励ましの言葉をかけてもらい、感動しました」とフォン副局長は言う。

ドンナイ省、ビエンホア市郵便局勤務の配達員、フン・チョン・ブーさんは、コメの配布時に配達員と受け取る市民らが安全な距離を保つよう工夫していたと話す。ビエンホア市内の隔離地域の住民にコメを届けたさいには、配達先の家から5メートル離れたところにコメを置き、住民へ呼びかけた後、その場を後にした。住民はブーさんが十分離れたのを確かめた後、コメを取りに外に出ていたという。

今回のコメの配布事業だけでなく、ベトナム郵便は人道的支援を行っている市民団体やボランティア組織に数十トンのコメと数百万ドンを提供し、新型コロナの影響を受けた人々を支援している。

コロナが終息した後も、ベトナム郵便では地元密着型である利点を生かし、社会保障政策の支援実施に自社組織を活用していく考えだ。同社のチュー・クアン・ハオ社長は、「地域や政府が一体となって困難を乗り越える手助けをしたい」と話している。