新型コロナウイルスの流行が続く中、オンライン学習の普及など教育分野でのデジタル化が進んでいる。教育アプリのベンチャー企業、テキ・ヤング・テクノロジカル・イノベーション(Teky Young Technological Innovation Institute)は、AI(人工知能)導入によって児童、生徒の能力に応じた効果的な学習を提供するToppy(トッピー).vn.を開発。国内でダウンロード数を伸ばしている。

写真㊤=スマホからも利用できるトッピー。効果的な学習をサポートするという

教育は、新型コロナウイルスのパンデミックによって最も大きな影響を受けた分野の一つ。個別学習やIT、オンラインの導入など、世界的に大きな転機を迎えており、インドでも教育アプリを提供するスタートアップ企業が急成長している。ベトナム政府も、ITによる教育改革を国家の競争戦略の一つと置付けた。

ところが、現場では教材のデジタル化ばかりがクローズアップされ、事前録画されたビデオをベースにした学習サービスにとどまっているケースが多い。生徒の学習に対する関心、モチベーションの維持といった課題は後回しで、ビッグデータやAIを駆使した質の高い教育プラットフォームやアプリケーションは十分に整備されていないのが現状だ。

こうしたなか、小学校から高校までの12年間の教育課程を対象とするオンライン学習アプリ、トッピーを提供して注目されるのが テキ・ヤング・テクノロジカル・イノベーションだ。創業者、ダオ・ラン・フオン氏は「新型コロナウイルスの流行のさなか、質の高い教育プラットフォームを実現したことは 、ゲームやSNS中毒に対する最大の〝ワクチン 〟になった」と成果を強調する。そもそもは、高校生が楽しく効果的に数学や物理、化学、英語を学べるようにすることが開発の目的だった。

トッピーは、生徒が楽しく学習できるよう工夫したビデオレクチャーで構成。モバイル・アプリによって、導入後はどこでも勉強できるようになり、個別化技術によって利用者に応じた“テーラーメードな学習”を提供する。「国内全域、特に指導者や優れた教師が不足している省において、従来の教育モデルより低コストで、最良の教師によるオンライン学習を支援する」(フオン氏)


子供たちの学びの過程を、保護者もモニタリングで共有できるところもオンライン教育の強みだ

能力に合わせた個別の自主学習に加えて、チューター(指導員)や教師からライブ形式で学ぶこともできる。同社のチーフアーキテクト、ル・クアン・チャン氏は「1人の教師が毎年多くのクラスを引き受け、何百人という児童、生徒に対して一対一で教えることなど、テクノロジーのサポートなしには不可能だ」と開発の背景を説明。トッピーを利用すれば、保護者は容易に子供たちの学びの過程をモニタリングすることができるため、教師と協力して効果的なフォローができる、としている。「少数の教師の肩に全責任を負わす代わりに、トッピーがそれぞれの生徒の要求に合わせた教育を引き受ける。優れた教師は、生徒のモチベーションを醸成する優れた指導員になるだろう」とチャン氏は期待している。