ビントゥアン産ドラゴンフルーツに朗報 日本の農林水産省が地理的表示を登録

日本の農林水産省は10月、特定地域で生産された野菜や果物などを知的財産として保護する「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(地理的表示法)」に基づき、ベトナムの「ビントゥアン産ドラゴンフルーツ」を地理的表示(GI)として保護登録した。ビントゥアン・ドラゴンフルーツ協会の申請から登録まで3年かかったが、これで目の肥えた海外市場向けたドラゴンフルーツの輸出が増えることが期待される。

◇輸出機会の増加
ベトナム南東部のビントゥアン省はホーチミン市の東約200キロに位置する。同省の農業農村開発局によると、同省では3万3750ヘクタールでドラゴンフルーツが栽培され、果実の生産量は年間約70万トンに及ぶ。この生産地のうち1万6000ヘクタールがベトナム版の農業生産工程管理、VietGAP(ベトギャップ)の基準を満たしており、500ヘクタールは世界基準のGAPに適合している。さらに省内にあるドラゴンフルーツの箱詰め施設10カ所と30のドラゴンフルーツ生産協同組合がベトナム版GAPや世界基準のGAPの条件を満たすバリューチェーンに加わっている。

ビントゥアン・ドラゴンフルーツ協会のボー・フイ・ホアン会長は、日本向けのドラゴンフルーツの輸出は10年前には、ビントゥアン省だけでなく、同じく南東部にありドラゴンフルーツ産地として知られるロンアン省やティエンザン省からも、少量にとどまっていたと振り返る。「今回、地理的表示を得たことで、協会では日本市場進出の可能性を最大限に広げるために、協会員らと協力していきたい」と話す。

科学技術省傘下にあるベトナム国家知的財産庁(NOIP)のディン・フー・フィー長官は、「ビントゥアン省のドラゴンフルーツは、ルックガン(ベトナム北部バクザン省)のライチに続く地理的表示の獲得で、消費者の信頼性が高まるだけでなく、認証を得ていない商品に比べて価格も高くなる」と期待している。

今回のビントゥアン省ドラゴンフルーツの地理的表示の獲得について、フィー長官は「他のベトナムの農産物にとっても、日本市場の開拓につながる」と高く評価している。商品の評価や市場開拓の可能性、生産地の自治体の関心の高さや、貿易活動などに基づいて日本の農産物や食品で地理的表示を獲得した品目は3品目しかないが、このうち2品目がベトナムの果物だ。

今後、国家知的財産庁はビントゥアン・ドラゴンフルーツの輸出活動を2つの方法で支援してきた。その一つは、日本の法律や規則などに準じるかたちで地理的表示の申請書類を完成させることで、もう一つが認可や輸入増加などのプロセスが加速するように、さまざまな場面で政治的影響力や2カ国間の協力パイプを活用してその実現に向けて加速させることだという。

◇製品の質の向上
ビントゥアン省農業農村開発局のファン・バン・タン副局長は、日本における地理的表示の承認によって地元産ドラゴンフルーツの威信が再確認され、輸出市場の拡大につながると見ている。今後ビントゥアン省は地元商工局や関連部局などと連携し、ドラゴンフルーツの品質向上策を検討するのに加えて、同省の貿易促進や市場の拡大、さらには開発戦略の調整などの側面から支援していく考えだ。

手始めとして、省内にある2カ所のドラゴンフルーツの蒸気処理施設を抱えるファインフルーツ・アジア社とホンアン社を支援し、両社が効率よく作業を展開するほか、日本側の厳しい条件をクリアできるように努める、とタン副局長は話す。果実内に生息するフルーツバエを駆除し、製品の品質を向上させるために蒸気で熱殺菌処理されます。これらのプロセスはすべて、日本とベトナムの専門家によって注意深く監視されている。

ビントゥアン省商工局によると、日本で販売するドラゴンフルーツは、「ベトナム版GAPや世界的なGAP規格に従って生産され、一つの重量は重さ約300グラム以上でなければならない」と定められているほか、輸入に当たっては徹底的な動植物検疫検査を受けなければならない。

ビントゥアン省農業農村開発局のファン・バン・タン副局長は、「日本における地理的表示の承認によって地元産ドラゴンフルーツの威信が再確認され、輸出市場の拡大につながると見ている。今後ビントゥアン省は地元商工局や関連部局などと連携し、ドラゴンフルーツの品質向上策を検討するのに加えて、同省の貿易促進や市場の拡大、さらには開発戦略の調整などの側面から支援していく考えだ。