ハノイ市で観光業が再開模索 歴史的建築物めぐりなど新商品を開拓

社会的隔離措置が緩和された首都ハノイ市で、さまざまな感染対策を実施した安全な観光業の再開の模索が始まっている。政府の経済回復施策に基づいた観光の復興と、「ウィズ・コロナ」に対応した新たな観光の提案がねらいだ。

先月23日、ハノイツーリスト社がベトナム歴史博物館と共同で、「ハノイ中心部におけるフランス建築散策」と題した観光プランを打ち出した。ハノイ中心部の通りを歩いてめぐる90分のツアーは、ベトナム歴史博物館をはじめ、ハノイオペラハウス、ソフィテルメトロポール・ホテル、ディエンホン公園などの、フランス植民地時代黄金期の建築の至宝を訪ねる。新型コロナの感染がハノイで拡大後、再開された初の観光ツアーで、今後は毎週末、開催される予定だ。

参加者の安全確保と政府の新型コロナウイルスの感染制御規則遵守のため、1回の参加グループは最大10人までとする。それぞれがコロナ感染対策の「5K(マスク着用、消毒、距離を取る、密にならない、正直に健康状態を申告する)」に従うよう求められる。

技術導入や博物館のデジタル化促進として、オーディオガイドを採用。独自アプリを使い、スマートフォン経由でベトナム語、英語、韓国語の案内を聞くことができる。QRコードを読み込むだけで自動的に音声案内が聞けるので、ガイドがいなくても観光客らがツアーを楽しめるようになっている。

ハノイ市旅行社協会の会長でもあるハノイツーリスト社のフン・クアン・タン社長は、「フランス建築を巡る徒歩でのツアーは、文化的な催しに参加したり、歴史的な場所を見たりしたいという観光客の要望に応えるものだ」と話す。

一方、ハノイ市旅行社協会とVグリーン・サステナブル観光クラブ社は、観光の復興に向けて、ハノイ市や周辺の村などの地域組織などと連携し、観光客の訴求につながるユニークな観光商品開発を進めている。感染対策に配慮して一軒家などを宿泊施設に使う「セーフ・ホームステイ」や安全なホテルの手配、キャンピングカーによる旅などを企画。企業やさまざまな団体などの会議、研修旅行、学術会議やイベントなど、「MICE」と呼ばれる観光サービスの提案も積極的に行っている。

ハノイ市観光局のチャン・チュン・ヒュー副局長は、「観光局は、これから年末にかけての観光業を回復し、さらに発展させるための詳しい計画を準備している」という。国内旅行者を誘引するために、安全で創造的、ユニークな観光商品を提案し、情報技術を応用して多様な旅行商品を開拓する考えだ。また、観光促進やPRイベントの開催、観光のデジタル化の促進などとともに、参加者らの安全確保のための監視・監督を徹底するという。さらに、2回のワクチン接種が終了した人を対象に、安心安全なビジネス上の出張旅行を促進する考えだ。

ハノイ市観光局は今後、現状の評価や、観光再開するための適切な課題解決を進める方針だ。観光客の受け入れ事業については、感染の拡大が十分に制御されている地域から始めて、旅行客らの受け入れをしていくという。