農家のデジタル化推進へ、VisaとiDEAが提携

ベトナムの農家や農業関連の中小企業のデジタル化を支援するため、米決済大手のVisaはこのほど、商工省傘下の電子商取引・デジタル経済局(iDEA)と提携を結んだ。締結された覚書に基づき、Visaは農家に対し電子商取引や電子決済の導入、事業運営のデジタル化をサポートすることで、農業分野をベトナム経済の原動力として成長させたい考えだ。

写真㊤=ベトナム電子商取引・デジタル経済局と、中国のECサイトJD.comのベトナムナショナルパビリオンの参加者との間で行われた覚書調印式

iDEA情報デジタル技術センターのヴイ・フィ・ホアン副センター長は、「ベトナムの農業にとって、デジタル化は不可欠な要素だ。商工省、iDEA、Visaという新しいパートナーシップで、農家や小規模事業者が、デジタル化に向けた最初で最難関の一歩を踏み出すためのサポートを行っていく。そうすることで、農業を再びベトナム発展の原動力として位置づけることが可能になるだろう」と述べた。

また、Visaベトナム・ラオスのカントリーマネージャーであるダン・トゥエット・ズン氏は、「iDEA、商工省と提携して、私たちの専門知識やソリューションをベトナム全土の農家に届けられることを嬉しく思う。デジタルハイウェイに足を踏み入れることで、ベトナムの生産者はより大きく、よりスムーズに成長できるだろうし、農業生産のサプライチェーンの近代化とその活用にも貢献するだろう」と語った。

新型コロナウイルスの感染拡大は、世界がデジタル化に向かい、売り手として成功するには、需要に合わせて動く必要があることを示した。ただ、ベトナムの農業はGDPの14%、雇用の6割を生み出す国の経済の重要な柱であるが、小規模農家は財政支援が得られず、成長の見通しが立たないのが現状だ。

一連の取り組みの中で、Visaはオンボーディング(新規加入者向けの教育)によって小規模農家や中小企業を支援し、デジタルを活用した販売機能をセットアップするとともに、加盟店とも提携して、Visaの電子決済や加盟店ソリューションで将来のビジネスをサポートする。基盤が整った農家や企業には、必要な運用やロジスティクス、顧客成長ソリューションを活用してビジネスを拡大させる手法が提供される。

Visaとそのパートナーである加盟店は、小規模農家や中小企業に、デジタル決済ソリューションとその技術を提供。例えば、Rapid Seller Onboardingはエンドツーエンドのオンボーディングであり、アクワイアラーやペイメント・ファシリテータによる即座の承認を支援し、加盟店が可能な限り迅速に稼働できるようにするソリューション。また、Tap to Phoneは、ソフトウェアソリューションで、すべてのNFC対応のデバイスをPOS端末に変換できる。追加のハードウェアは不要だ。

Visa Business Solutionsは、ビジネスオーナーやスタッフ向けのツールであり、日々の業務を最適化し、ビジネスの重要な部分を可視化する。Practical Business Skillsは、Visaのビジネスオーナーや従業員向けのオンライン教育プログラムで、財務管理を改善し、より確実で情報に基づいた意思決定を促す。

今回の提携により、Visaは、決済システムやイノベーションの推進によってベトナムをキャッシュレス国家に導き、デジタル成長を通じて社会に活力を与えるという長年の目標を推進する。