2022テト到来で外資系企業が支援実施 タイ飲料大手は教育、インド商工会議所は農業分野で

ベトナムは2月1日、一年で最も重要な祝祭日、テト(旧正月)を迎えた。人々の間で善行や助け合いが奨励される時期だが、企業の支援活動も盛んだ。タイ企業傘下の飲料大手、ベトナム・ビバレッジは、自然災害で被災した学校や生徒を支援、インドの農薬大手、UPLは南部の農家に贈り物をするなど、外資系企業による国際色豊かなテト支援が見られた。

◇タイ・ビバレッジ、中部3省に7億5000万ドン
タイのアルコール飲料最大手、タイ・ビバレッジのベトナム法人、ベトナム・ビバレッジ(VietBev)はこのほど、750人分のテトの贈り物と、教育機関に総額約7億5000万ドン相当の機器や備品を寄贈した。過去数年の水害で被害を受けたベトナム中部のハティン、クアンビン、クアンガイの3省が対象で、各省のベトナム祖国戦線委員会を通じて、生徒や学校に贈られた。

活動は、タイ・ビバレッジ、ベトナム・ビバレッジと、東南アジア地域の若い世代の社会支援を展開するタイの非営利団体、C-Aseanとシリワダナパクディ財団の4団体が実現させた。中部3省が過去数年、何度も大雨や洪水などの自然災害で被害を受けていることから、各省の祖国人民戦線委員会と調整して、15の小・中学校や高校が対象となった。昨年2月にも4者、水害で被害を受けた学校の修繕や新たな資材の購入費用として、15億ドンを3省の教育機関に寄付している。

1月25~27日にかけて、3省のベトナム祖国戦線関とベトナム・ビバレッジの関係者らが贈り物を届け、寄贈式典で、教育機材や雨具、消毒薬やマスクなどの目録を教育機関に贈呈=写真。充実して、安全な学校生活を楽しんでもらおうとの願いを込め、流通大手のMMメガマートなどの協力で集められたテトのプレゼントの詰め合わせも、恵まれない環境にいる生徒たちに贈られた。

ベトナム・ビバレッジを代表してグエン・ハイ・ソン氏が「寅年の新年を前に、テトの贈り物と愛を生徒たちに届けることができてうれしく思う」とあいさつ。「今後も、災害予防と教育支援の2分野を柱に、この地域でどのような支援活動が継続できるか、注意深く見守りたい」と話した。

タイ・ビバレッジを中核とするTCCグループ傘下のベトナム・ビバレッジは、長期的にベトナムでの投資を続ける一方で、持続可能な発展と地域への利益還元などによる貢献を重視して活動を展開している。「『子どもは未来の宝』と考えており、さまざまな組織と手を結び、子どもの健全育成や教育環境の充実を実現することが、弊社の社会的責任だと考える」とソン氏は語った。

ハティン省で支援を受けたのは7校で、このうち5校が水害被害の大きかったフオンソン地区の学校。残りはカムスィエン地区、タックハー地区の学校。クアンガイ省では、同省祖国戦線委員会がクアンビン地区の3校の生徒たちにテトの贈り物が、5校に教育資材が、それぞれ送り届けられた。

タイ・ビバレッジは2017年以降、ベトナムのビールメーカー最大手のサイゴンビール・アルコール飲料(Sabeco=サベコ)の株式を取得し、投資を継続している。母国タイでも、自然災害の復興と教育支援の2分野で積極的に社会支援活動を展開している。

◇農家への支援も インド商工会議所など
在ベトナム・インド商工会議所(INCHAM)は、インドに本社を置く世界的農薬メーカー、 UPL社のベトナム法人、UPLベトナムと共同で、南部メコンデルタ各省の農家にテト(旧正月)の贈り物を贈った。

「Trao yêu thương – Tết muôn phương 2022(多方面に愛を届ける)」と題し、1月27日と28日、チャビン省チャクー地区とアンザン省のトアイソン地区、ティンビエン地区で、困難な状況に直面している農家1000軒に贈り物をした。

UPLベトナムのパルビーン・ライ・ジョシ社長は、「このプログラムを通じて、農家のみなさんに困難な状況を乗り越え、満ち足りたテトの休暇を過ごしていただきたい。さらには、持続可能なかたちでの農業発展をより多くのベトナムの農家に知って、実践してもらい、農業生産の向上につなげたい」とあいさつした。新型コロナウイルスの感染の影響が続くなか、農業生産物の輸出が困難となったために、ベトナムの多くの農家の生活が打撃を受けた。

コロナ禍で、企業やベトナム政府が直面する困難を乗り越えるための努力に寄り添うねらいで、INCHAMは加盟企業の協力を得て、ベトナムやインドの人々を救う活動を展開してきた。INCHAMのマノージ・バートワル会頭は、「INCHAMは、ベトナムの農家が、温かなテトを迎えられることを祈っている」との言葉を添えた。

INCHAMは1999年、ホーチミン市で設立された非営利組織で、インド企業とベトナム当局との結びつきを強固にし、ベトナムとインドの間の経済関係や企業協力などの強化につなげるねらいがある。同時に、ベトナムにおけるインド人コミュニティの中心ともなっており、現在はハノイにも支部を置く。

UPLベトナムはホーチミンに代表事務所を1998年に設置したのが始まりで、農薬や農作物保護に使用する薬品類などの開発製造に強みを持つ。ドンナイ省のアマタ工業団地にある総面積1万4000平方メートルに及ぶ工場は、液体除草剤300万リットルの製造能力をもつ、最先端の製造施設で、その製品はベトナムにとどまらず、ミャンマー、インドネシア、ナイジェリア、オーストラリアなどへ輸出されている。