海クラゲからコラーゲンを生成するための酵素の応用研究は、ベトナムの国内消費や輸出を促進する上で非常に重要だ。

写真㊤=ベトナムには非常に多くの海クラゲが生息する

商工省の支援を受けて、海洋資源環境研究所は、酵素を用いてクラゲからコラーゲンを生成する研究を行っている。研究チームによると、ベトナムには数百万トンのクラゲが生息し、漁獲能力は年間数十万トンになると推定される。しかし、現状クラゲは、伝統的な手法により手作業で加工されており、加工品の大部分は国内消費と輸出に向けられているが、経済価値は非常に低い状況だ。

「そのため、クラゲ資源の活用と経済価値を高める加工技術の開発はとても重要だ」と研究チームの代表者は強調する。海洋資源由来のコラーゲンは、他の原料に比べて安全性が高く、感染症の発症リスクが低く、抽出量が多いなどのメリットがあるとされる。

研究チームの代表者は、「現在、クラゲからコラーゲンを抽出する研究はあまり行われていない。酵素技術を応用することは、高い回収効率、製品の品質向上、副生成物の抑制、汚染の低減など、多くの利点があると期待される」と続けた。

これまでにプロジェクトでは、原料を1000kgごとに加工する技術プロセスを構築し、純度82.6~83.7%の粉末コラーゲンを522kg生産。安全性や品質の面でも、保健省の基準に適合している。さらに、コラーゲンを含有した機能性食品カプセル(1カプセル200mg以上)を7万5千個製造し、クラゲ成分や粉末コラーゲン製品、「CollaJell」機能性食品カプセルに関する規格と品質の基本プロファイルも作成した。

また、クラゲからコラーゲンを生産した際の経済効果も算出しており、研究チームは、「ビン・ホアン・コラーゲン社の工場で製造し、1回あたりの加工量を5000kgとし、1日8回加工した場合、総収入は1兆1410億ドン(約64億円)を超え、利益は6233億8700万ドン(約35億円)を超える」と試算する。

研究チームは、ベトナム海域のクラゲ資源を有効活用するために、生産効率の向上とコストの削減、多くの生産設備の建設を目指して、実生産規模の技術や設備を探索する。また研究も継続し、クラゲ由来のコラーゲンを用いた二次製品を増やして、商品化を目指す。

研究チームは、ベトナム産クラゲからコラーゲンを抽出する技術プロセスに関する産業財産権の登録手続きを進めている。また、すでに国際論文2本、専門誌へのレポート2本を発表し、国内の専門セミナーでもプレゼンを行っている。