モン族・ザオ族の生活に触れる、棚田の村ナムカン=ラオカイ省

黄色く色づいた棚田、モン族やザオ族の文化が息づくナムカン。ラオカイ省サパのリエンミン村にあるこの観光地は、豊かな自然と独自の文化で訪れる人を魅了している。

ナムカンは、町の中心部から約36km離れた場所にあり、ここへ至る道沿いでは小さいが、美しい滝を見ることができる。観光地としてまだそれほど知られてはいないが、のどかな環境と北西部独特の自然景観が特徴だ。

写真㊤=稲穂が実るナムカンの棚田

ナムカンは他の地域よりも作物の成熟が早く、8月中旬から9月上旬にかけて、黄色く色づいた棚田が一面を覆う。

棚田にはモン族とザオ族が住む高床式住居が点在している。ここでは、モン族の伝統料理のタンコー、サーモン鍋、川魚の焼き物、豚肉のロースト、香り高い森の野菜など、地元の名物料理を楽しむことができる。


ナムカンの名物料理を楽しむ

観光客は、赤ザオ族の生活に触れ、彼らの刺繍や銀の彫刻品、伝統的な竹の紙づくり、薬草風呂について学べる。そして、知れば知るほど、ここでの生活がどれほど安らかであるかが分かるだろう。女性たちは毎日、織物や刺繍をしたり、森へ薬草を摘みに行ったりし、男性らは銀の彫刻や農作業に勤しんでいる。学校が休みの時には子供たちは川遊びをしたり、水牛や牛の世話をしたり、親の家事を手伝ったりする。

ナムカンの文化に触れた後には、薬草の香りが漂う木製の風呂が待っている。専門家によると、赤ザオ族の薬草風呂は体に良いだけでなく、民族独自の文化を反映しているのだという。

住民たちは魚の養殖も行い、水路のそばには80以上の養殖場がある。多くの家庭で、1シーズンに数十トンの魚を獲るとのことだ。

リエンミン村党委員会のヴー・ア・チュン書記は、「各家にはいけすがある。最も多く養殖しているのは、タン・チャン・クエンさんの家で、クエンさんは養殖のパイオニアであるだけでなく、養殖の専門家を招いて、稚魚や販売用の魚の生産を指導している」と語る。

モン族の言葉で、ナムカンは「澄んだ水」を意味する。モン族とザオ族といった2つの民族が暮らす主要な地域であり、住民は農業や家畜の飼育のほか、葉を摘んで薬や食料にすることで生計を立てている。