持続可能な開発を目指す「ベトナム戦略」

ベトナムは、グリーン開発やエコロジー産業、再生可能エネルギー、サーキュラーエコノミーを国の新しい推進力とする2030年までの物品輸出入戦略に従って、より持続可能な生産体制へとシフトしている。

商工省が策定したこの戦略では、電子機器製造、環境負荷の低い製品、林業・農業製品、繊維製品を優先的に扱うとしている。また、コマーシャルコンペティションとデジタルトランスフォーメーション、イノベーションと起業家精神、品質、規格と認証、持続可能性・インクルージョンと貿易円滑化の5つの重点分野も示している。

写真㊤=企業は環境負荷の低い製品の開発に意欲的だ

最近開催されたスイス貿易政策・促進プログラム主催のセミナー「世界の潮流とベトナム:国家貿易戦略の見通し」で、国際貿易センターのパメラ・コーク・ハミルトン事務局長は、「産業別の戦略が不可欠であり、優先分野における貿易円滑化や雇用創出も重要だ」と指摘した。

また、駐ベトナムスイス大使館代理公使のニコル・ウィルシュ氏は、「スイスは、持続可能な基準や低排出・ゼロカーボン生産、デジタルコマースの推進、ルールに基づく貿易システムの順守について重点的に支援してきた」と述べ、「スイスは、持続可能な開発やベトナムとの貿易を促進するために有利な環境を作り出し、それによってサプライチェーンにおけるベトナムの競争力強化に貢献していく」と続けた。

複雑化する世界情勢の中で、2030年までの物品輸出入戦略は、大きな課題に直面している。

ベトナム経済・政策研究所のブイ・クアン・トゥアン所長(准教授)によると、ベトナムは、市場拡大を促進し、中小企業を支援する貿易政策、特に持続可能な開発に焦点を当てた政策に従い、グリーン成長目標を国際貿易公約と一体化していかなければならない。同時に当局は、製品が、EUなどの市場で急速に進むグリーン・トランスフォーメーションの基準に満たすようにしなければならない。政策は新しいトレンドに対応し、環境負荷の低い製品を開発するモチベーションを作り出し、グリーン・トランスフォーメーションの要件を満たすために新産業に投資する必要がある。

トゥアン所長はまた、「政府による、より良い経済計画の重要性」を強調し、「政策立案者と企業、コンサルタント、科学者、銀行を結び付け、サーキュラーエコノミーをさらに促進するべきだ」とした。

スイス政府が出資するスイス・トレード・プロジェクトは、貿易に有利なフレームワークの整備、官民対話メカニズムの強化、ダイナミックなエコシステムの構築により、ベトナムの貿易や中小企業の国際競争力を向上させることを目指す。