海上で働く誇り、国旗にこめて ハイ・タック・モック・ティン油田

ベトナム国営石油ガスグループ、ペトロベトナムの採掘地の中でも沿岸から最も遠く、深海にあるのがハイ・タック・モック・ティン油田・ガス田だ。海上の基地となる石油・ガスプラットフォームでは、過酷な環境のもと、多くの作業員が懸命に働く。絶海の海に、力強くはためくベトナム国旗は、スタッフの心のよりどころとなっている。

同油田・ガス田はバリア=ブンタウ省南東320㌔のナムコンソン海盆(海底の大規模な凹所)の水深、118~145㍍の極めて複雑な地質構造上に位置。1日当たり100万ドル(約1億3000万円)に相当する資源を産出する。

プラットフォームで2018年から、毎週初めに行われている国旗掲揚式は、国内の石油基地の中で最も東端で行われている国旗掲揚式であることが公式に認定されている。式典の際にかかる曲「東の海に舞う国旗」は、ミュージシャンのチュオン・クイ・ハイが書き下ろしたオリジナルソングだ。「胸に手を当て、国旗を見上げる」という歌詞が、はるか本土から離れた現場で働く人たちの胸を打つ。

プエロジェクトは当初、石油メジャーのBPが、9年間にわたる調査と5億㌦(約680億円)をかけて進めてきたが、撤退。その後、ペトロベトナムが引継ぎ、最新の技術を動員して地質的課題を克服、開発に成功した。運用はペトロベトナムの委託を受けたビエンドン石油管理会社が行っている。

同社のゼネラルディレクター、ゴ・フー・ハイ博士は「国旗掲揚式は、建国に身を挺した先人への感謝、愛国心とともに、祖国と国民に貢献することの大切さを今一度思い出してもらう重要な儀式となっている」と話す。青い海に鮮やかに浮かび上がる赤字に黄色の金星紅旗は、これからも激務に当たるスタッフの心を支え続けていくにちがいない。