新年彩る五色のもち米 北西部の郷土料理

カオラン族やタイ族、ヌン族などの少数民族が分布するベトナム北西部には、地域ならではの郷土料理が多い。代表的なものの一つが、五色のもち米料理だ。白と紫、緑、黄、赤の鮮やかなこの料理は、新年のお祝いや冠婚葬祭の特別な日の食卓に欠かせない一品だ。

単に見た目の美しさだけでなく、 5つの色には、それぞれ深い意味がある。赤は、生命と明るい未来、紫は豊かな大地、黄色は富と繁栄、緑は森と水田、白は誠実さと愛を表す。こんな意味を込めた五色のもち米は、家族や仲間に幸運をもたらすと信じられている。

調理方法はシンプルで、良質のもち米を6~8時間水に浸し、それぞれの色に染める。赤は ガックフルーツ(ナンバンカラスウリ)、緑はショウガかパンダン(ニオイタコノキ)の葉、黄色はターメリック、紫はアレカヤシで着色する。色付けに使う植物の実や茎、葉はひいてすりつぶし、別々にゆでる。

ポイントはもち米を蒸す火加減。炊き方一つで香りやかたさが変わってくる。炊きあがったもち米は、両親や祖父母、先祖への感謝を込めて5枚の花びらの形に盛り付けられる。地域の女性は、何世代にもわたってもち米の選びかたや染め方、炊き方を学んできた。新年を華やか彩る五色のもち米は、北西部の豊か自然と文化のシンボルとして、これからもハレの日の食卓に華を添え続けていくのだろう。