中国国境での通関、貿易に異常なし

パラセル諸島付近海域での中国による石油掘削作業に端を発するベトナムとの領有権争いがなおも過熱している。ベトナムは南シナ海において断固、中国と争う姿勢を見せる一方、外交や経済ではこれまで通りの関係を維持している。

ところが、「国境地帯の安全が脅威にさらされている」「国境での通関や入国管理が閉鎖されている」とのデマが流れ、暮らしや経済に動揺が広がっている。しかし、国境地域での輸出入は通常通り行われている。事実、ベトナム・エコノミック・ニュースの現地取材でも、ラオカイ、ランソン、クアンニン各省の国境地帯にふだんと変わったところはなかった。

デマその1 ラオカイ税関の閉鎖・・・実際はふだん通り

ここ半月のうわさによると、「国境地帯の貿易は止まっている」という。ラオカイ市場管理局のグエン・バ・ビン氏は、「ラオカイ税関は5月26日に中国とベトナムの貿易を停止したという、発信元不明のデマが流れているようだ。しかし、通関業務はふだん通り行われている」と話す。

ベトナム・エコノミック・ニュースの記者が5月29日、ラオカイ省入りし、現地で取材を進めたところ、国境では通関を待つ人やトラックの行列ができ、職員らがあわただしく業務に追われていた。キム・ターン・オーバーランド橋では、積み荷を満載した通関待ちのトラックで混雑していた。

橋の税関職員は「業務は通常通り行われており、変わったことは何もない」と話す。ベトナムの企業はこれまで通り中国との貿易を行い、商品も遅延なく届けられている。パーキングエリアにいたラオカイ省の貿易会社「ギア・アン・ジェネラル・トレード」の従業員、キエン氏は「5月8日に電子手続が導入されて以来というもの、うちの社の農産物はこれまで以上にスムーズに中国に運ばれている」と話していた。

ラオカイ省税関の担当者は、「通関が停滞しているとのうわさは、根拠のない悪意にもとづくものだ。トラックはベトナムと中国の両国を行き来し、輸出入や通関は滞りなく行われ、いかなる誓約を強要されるようなこともない。実際、両国間を行き来するトラックの数も4月から5月にかけて50%増えている」と強調する。

税関によると、中国からベトナムには1日平均で250台、ベトナムから中国には150台のトラックが通過。輸入では機械や部品、素材などが増加、輸出では野菜や果物、コメなどが増加しているという。

ラオカイ省税関事務局のラン・ブ・ホアン局長は「輸入も輸出も好調に推移している。ラオカイ省における年初来5カ月の両国の貿易額は7億1800万ドルを超えており、うち2億1900万ドルが国境地帯のラオカイ税関を経由している。これは昨年同期比59%にも上る」と強調した。