キャビアの本場・ロシアに進出 ベトナムのチョウザメ業者

「黒いダイヤ」と呼ばれる高級食材、キャビア。その原材料となる卵を産むチョウザメの養殖が、ベトナムで進められている。ベトナム産キャビアはすでに欧州で高い評価を得ているが、このほど、キャビアの本場・ロシアにも進出することになった。初値は、1㌔650~700$(約6万6000~約7万1000円)。将来的には900~1000$(約9万1000~10万2000円)に上がると見込まれている。

ロシアのチョウザメは主に黒海とカスピ海に生息、希少価値が高く滋養に富むことから、極めて高額で取引されている。その卵、キャビアはEU諸国では特産品として非常に人気がある。こうしたなか、ベトナムの業者は、他国に先駆けてEU諸国へのチョウザメの養殖とキャビアの輸出を模索してきた。

ベトナム産キャビアの試食をしたフランスのシェフのクリスチャン・ル・スクワーさんは「すばらしい」と感じたと言い、他の地域のものと一緒に出されたとしても、見分けがつかないだろうと語った。さらに、「キャビアの質は強烈な印象だよ。この新鮮さは、気難しいシェフさえもうならせるものがあるね」と付け加えた。

ビンチュアン省を訪れる多くのロシアの観光客は、ベトナムでもチョウザメが漁獲されることに驚くとともに、その品質が欧州のものにも勝るとも劣らないことに舌を巻く。

ブランド化が今後の課題 世界品質の周知を

ロシアのチョウザメがビンチュアン省で養殖されるようになったのは、2008年。「ベトナムには、他の国と比較して、いくつかのアドバンテージがあります。気候、澄んだ湖、雄大な流れと酸素に富む水・・・。それらが、チョウザメの健やかな成長をうながしてくれます。こうして豊かな自然の中で育ったベトナムのチョウザメのキャビアを、フランス、ルクセンブルグ、イタリア、ドイツといった海外の顧客はいずれも、称賛してくれています」。
今回、ロシア側と輸出契約し、9月からロシアへの輸出が決定した「ベトナム・チョウザメ・グループ」のダク代表は、こう話す。

「世界中の多くの国がベトナム産のチョウザメを喜んで輸入するでしょう。ただ、数量には限りがあり、有名レストランや一部の市場にしか出回っていませんでした」

専門家によると、キャビアの需要は世界的に高まっており、消費量は年間4000㌧近くに上る。しかし、この数字は総需要の3~4%に過ぎないという。自然界において、チョウザメは成魚になるまで15~20年を要する。他国に先駆けて養殖に進出したベトナムは、この点において、大きなアドバンテージがある。ただ、最重要課題は、いかにブランド力を高めていくかだ。

「ベトナム・チョウザメ・グループ」は8月の4~9日まで、ハノイ、ホーチミン、ナタン、ダラットの5つ星ホテルの有名レストランで盛大にディナーイベントを開催した。イベントは、ベトナムの優れた海産物と農産物に対する評価に大きく貢献した。

イベントでは、シェフのクリスチャン・ル・スクワーさんがベトナム産キャビアをふんだんに使った至高のメニューを披露。「ベトナム産キャビアの品質には非常に満足だね。私は、ベトナムの文化、料理とともにベトナム産キャビアについて、さらに多くの魅力や可能性について、発見していきたいと真剣に思っているんだ。だからこそ、今回、ベトナムへの招待を受けたわけなんだ」と語った。