最新技術で水産物の海外競争力アップを

魚介類を中心とする水産物は、ベトナムの重要な輸出品の一つだ。その水産品が今、最新技術の導入によって、輸出先である日本やEU諸国、米国の厳しい要求や基準を満たし、新たな輸出拡大へとつながっている。

科学技術省地域科学技術局のホ・ゴック・ルアト局長は「漁業における科学技術の最大の貢献は多彩な加工、生産技術で、これが輸出増に大きく貢献している」と話す。

ベトナムの水産物は世界156カ国に輸出され、近年の輸出高は年間60億㌦(約6240億円)を超えている。主な品目としては、ティラピア、エビ、スギ、スズキ、レッドスナッパー、カニ、貝、アワビなどだが、こうした好調な数字を達成できたのも、最新の養殖技術導入がおかげだ。いずれも、長年の研究のたまもので、技術的には今や国際レベルに達している。一例を挙げると、チョウザメの養殖技術は、コスト低下による競争力をつけ、輸入チョウザメの占めていた市場を奪った。

高度な技術によって生産性も飛躍的に向上し、ブラックタイガーエビは1㌶あたり約1.5~2.5㌧、アジアを中心に食用にされているカワスズメ科のティラピアは同約10㌧という高い数字を達成している。

ルアト局長は「カニやアワビなどは高い生産技術によって、ベトナムは年間1億㌦(10億円)を得ている」と話している。

世界が求める高品質の維持を

農業農村開発省水産管理局によると、ベトナム国内の加工用の冷凍設備は国内基準を満たしているだけではなく、衛生管理の手法として国際的に知られるHACCP(ハサップ)も導入している。こうした努力もあって、同省の統計によると、EU諸国で約300企業、韓国約440企業、ロシア約30企業、ブラジル約60企業、日本約450企業がベトナムの水産品の輸入を認可している。

最新技術の導入を背景に、ベトナムの水産物の輸出高は1980年の約2000万㌦(20億円)から、2013年には約68億㌦(7070億円)に急増。2014年は約70億㌦(7280億円)に達する見込みだ。

ルアト局長は「高度なテクノロジーは、水産物の生産性だけでなく品質向上にも貢献しています。科学技術は、増加する水産物輸出の重要なカギを握っていると言えるでしょう」と話している。