ベトナム国家主席と米大統領の共同声明

ベトナムのチュオン・タン・サン国家主席のアメリカ公式訪問は、バラク・オバマ米大統領との首脳会談などを通して、二国間の関係を新たなステージに引き上げた。両首脳は包括的なパートナーシップの構築で合意。その中で、互いの国の独立、主権、領土の保全を尊重することを表明した。さらにAPEC(アジア太平洋経済協力会議)やASEAN(東南アジア諸国連合)など地域・国際会議に、両国がともに協力してゆくことでも一致した。News Linerは共同声明の全文を入手。その要旨を掲載します。

政治協力と外交

包括的なパートナーシップの枠組みの中で、より高いレベルでの交流を進め、対話と協力体制の強化を支援する。オバマ大統領は、アメリカはベトナムの独立、主権、繁栄、及び地域の統合を支持する、と明言した。これに対して、サン国家主席はアメリカがアジア・太平洋地域との協力を強化し、この地域の平和、安定、繁栄に貢献することを歓迎した。

定期的な外相の対話会議を設ける。両国の与党による対話と交流を奨励する。

ベトナム、アメリカ両首脳は、アジア・太平洋地域の平和と安定、発展を促進するため、地域及び国際会議、例えばAPEC、ASEAN、ARF(ASEAN地域フォーラム)、EAS(東アジア首脳会議)、ADMM+(拡大ASEAN国防相会議)などに対する両国の協力を強化することで一致した。

また、両首脳は紛争解決のための武力行使に反対することを改めて確認した。

サン主席とオバマ大統領は、両国の大使館とその他の駐在外交機関について、両国関係の発展を反映し、なるべく早い時期に、建設(建て替え)について関係機関で協議するように指示した。

経済と貿易関係

サン主席とオバマ大統領は、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉の年内妥結を目指すことを確認した。

両首脳は、二国間の経済協力の重要性について、ベトナムとアメリカの包括的パートナーシップの基礎であり原動力、と強調した。

また、サン主席とオバマ大統領は、ベトナムの農業従事者、農業関連企業、消費者に利益をもたらすため、アメリカ農務省の支援で、ベトナムの農業部門が能力を向上させるとともに、教育プログラムを通じて最新技術を受け入れ、それを応用してゆくことを歓迎する。

科学技術に関する協力

サン主席とオバマ大統領は、両国の技術科学協力の需要性について協議。科学技術協力、特に民生用原子力エネルギー、宇宙開発、海洋研究の分野での協力を歓迎する。

教育に関する協力

両首脳は教育、文化、民間交流の必要性を改めて確認した。また、ベトナムからアメリカへの留学生が増加していることを踏まえ、アメリカからベトナムへの留学生増加に期待した。今後、ベトナム、アメリカ両国の関係発展のため、教育・訓練分野での協力は重要な要素であるとの認識で一致した。

環境と医療について

サン主席とオバマ大統領は、グリーンエネルギーの効率的な使用、安定した林業の開発、気候変動への対策の強化、海面の上昇や自然災害への対策に両国が協力することを歓迎する。オバマ大統領はベトナムの身体障害者の介護や治療などの医療体制を支援することに改めて言及した。

戦争の後遺症について

サン主席とオバマ大統領は、戦争の後遺症を解決することを通じて、相互信頼の向上と将来の前向きな関係の発展につながる、ことで一致した。オバマ大統領は行方が分からない米軍兵士の捜索に対するベトナム政府の支援を高く評価した。また、行方が分からないベトナム軍の兵士の捜索について今後、支援することを表明した。

国防と安全保障

サン主席とオバマ大統領は、ベトナムとアメリカが、国防と安全保障の分野で今後も協力を続けることで一致した。

人権保護の推進

サン主席とオバマ大統領は、人権保護を推進させることの重要性について強調した。両首脳は国連憲章及び世界人権宣言を支持することで一致した。

文化・観光・スポーツ

サン主席とオバマ大統領は、民間の交流が相互の理解を促進させるとして、文化、観光、スポーツでの交流の重要性を強調した。二国間の芸術、音楽、展示会、スポーツイベントなどを通じて、民間交流の促進を奨励した。