人気高まるメコンデルタ観光 エコツアーなど新たな集客を

2010年までというもの、メコンデルタ地方は、観光客にとりわけ人気のエリアというわけではなかった。年間の観光客数も200~300万人程度だった。それが昨年は、2240万人(前年比8.3%増)を記録。うち183万人(同10.2%増)は海外から訪れた人だった。こうした人気に伴い、観光収入も23.7%増の6兆3600億ドンに上っている。

メコンデルタの多様な文化と風習は、多くの観光客を魅了している。旧暦の新年には、国内外から多くの観光客が訪れる。「ただ、西部の花の村へのツアーなど、大半のツアーはわずか1日か半日で終わってしまいます」と残念がるのはサイゴン・ツーリストのドアン ティ ターン・マーケティング・マネジャー。メコンデルタをもっと深く知ってもらい、長く滞在してもらうのが地元のテーマの一つとなっている。

こうしたなか、地元自治体は地域観光の振興策の一環として共同調査を実施、フーボン・スクエアやトランキム国立公園、グエンシンサク遺跡、チュックラムタイティエン禅院、カイラン水上マーケットなどメコンデルタの16カ所の主要観光地を選び出した。メコンデルタ観光協会は、販促や人材育成、あるいはティエンザン、ベンチェ、ヴィンロン、チャービン省(県)といった西部地域への旅行商品の提供によって、よりいっそうの収入増やサービスの向上を目指している。

メコン川最大の支流の南岸に位置するカントーでは4月26日から5月2日まで、政府や地元行政当局のコーディネートによって「メコンデルタ グリーンツーリズム ウイーク」が開催される。イベントには、ベトナム国内だけでなく、タイやカンボジア、ミャンマーといったメコン流域の国々から多くの人が訪れる。

ベンチェ省では4月7~13日にわたって「第4回ココナッツフェスティバル」が開催された。期間中は、ココナッツの品評会や川下りツアー、観光のワークショップなども行われた。イベントは、単にココナッツ販売促進というだけではなく、地方観光やビジネス振興に貢献している。

さらなる観光客の増加を達成するためには、今後、どのようなことが必要なのか。

「都市部と地方を結ぶ旅行商品を提供していくため、メコンデルタの地元旅行会社は、ハノイやホーチミン、ダナン、ラムドンといった都市部のパートナーとより連係を深めていくべきです。さらに、既存の旅行商品だけでなく、エコツーリズムでのホームステイモデルを企画するなど、昨今のトレンドを取り入れた旅行商品のラインナップをさらに充実させていかなくてはなりません」。メコンデルタ観光協会はこう話している。

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調査によると、メコンデルタを訪れる旅行者のうち90%近くが、ティエンザン、ヴィンロン、ベンチェ、キエンザン、カント省の河川や果樹園、庭園、歴史的文化的な遺跡を訪れている。ベトナム政府観光局は、今年のメコンデルタ地方の観光客を外国人約270万人、国内観光客約520万人と見込んでいる。そのうえで、2020年までには、それぞれ390万人、650万人に伸びると予想している。