サパの観光 さらに促進

海抜1500メートル以上の高地に位置するベトナム東北部、ラオカイ省のサパは、一年じゅう気候が涼しい。美しい風景や少数民族の文化などの魅力に加え、今年末には5つ星ホテルも完成する予定で、観光ブームが期待できそうだ。

写真㊤=海外からも多くの観光客が訪れるサパ
サパ周辺には、カットカット村、シルバー滝、雲橋、ドン・タ・フィン、ハム・ロン、ホ村、タ・バン、ラオチャイ、ナムカンなどの有名な観光名所が数多く点在する。また、キン、モン、ザオ、タイ、ザイ、サフォの6つの民族が暮らしていることから特徴のある祭りも多い。少数民族の交流の場である、サパ・ラブマーケットなどが有名だ。

サパでは、小売業と観光サービス業がGDPの60%以上を占めている。海外からの観光客も昨年は前年比9.3%の増加となり、70以上の国からの観光客を受け入れるなど、観光が主幹産業だ。

現在、サパには宿泊先が185カ所あり、部屋数の総合計は3119室だ。このうち3つ星と4つ星のホテルは8軒、2つ星は24軒ある。観光客用の基準を満たすレストランは計1700席。現地の旅行会社は22社にのぼり、236人のガイドが登録している。村には家族経営やホームステイタイプの小規模宿泊先も107軒あり、最近ではサービスの品質がずいぶん向上している。

サパ地区共産党第21区は、2010年から2015年にかけて、観光産業の発展を目指して様々な施策を導入している。なかでも重要視しているのが、観光の持続可能な発展だ。観光産業の速い成長スピードに合わせて、2015年末にはサパ初の5つ星ホテルを完成させるほか、3つ星のホテルなど、複数の宿泊施設も誘致した。旅の内容も、少数民族のコミュニティー訪問、山中でのトレッキングなどと多様な商品を提供。潜在的な観光資源である近隣のホ村、タ・バン、ラオチャイ、タピンなどの発展にも昨今、力が入れられている。

さらには、付加価値をつけた観光客向け商品の開発にも力を入れており、サパの少数民族による手織や刺繍などの製品、カットカット村の浮き彫り細工、機織り、藍染めなどの発展やPRに力を入れている。

多方面で整備
著しい観光発展のスピードに対応するため、サパでは電気システムや給水・下水システム、汚水処理、放送・通信網などの整備が新たな課題として浮上している。また、市内の道路や、各村をつなぐ道路などを改善して、観光客の移動時間を短縮する計画もある。商業施設や観光地への投資に加え、サパが第4種地域の都市に格上げされ、さらには東北地方一帯の発展にもつながると期待される。

衛生環境の保全も重要な課題となってくる。各ホテルや観光スポットなどで木を植える面積を拡大することなども進め、自然に触れるエコツアー開発への投資も支援。地元にも環境保全のための規則を守ってしてもらい、公共トイレを一定の基準に基づいて設定したり、観光名所や市内の道路などにゴミ箱を設置していく考えだ。


サパの特徴や環境を守りながらの観光開発が必要だ

観光PRも促進され、地元で色々なイベントを行なったりするほか、西北部各省の観光発展プログラムと共同で広報活動を行ったりしている。また、特徴のある旅行商品を作成して、観光客へ情報発信することにも力を入れている。

国もウェブや国内外の展示会を通じて広報活動を支援している。海外からの観光客や投資の誘致することで、サパの観光業を長期的に発展させたい考えだ。

今後はさらに、人材の育成、地元の労働者の訓練、英語やフランス語などの外国語教育センターの開設なども計画される。とりわけ、サパの少数民族を対象にした人材面での観光開発にも力を入れる必要が指摘されている。