ラオカイ省各地で山岳民族の春の祭り 音楽や踊りで豊作祈願

旧暦の正月4日にあたる2月19日前後にかけて、ベトナム北部の山岳地、ラオカイ省では、テト明けを祝う多くの祭事が行われる五穀豊穣や家族の健康を祈り、少数民族独特の文化や信仰を伝承するこれらの祭りは近年、観光資源としても注目されており、今年も大勢の観光客らを魅了した。

◇バックハ地区のサアイ・サン祭り
ラオカイ省バックハ地区タイザンフォーのガイマ村では、このほど恒例の「サアイ・サン祭り」が行われ、多くの人々が参列した。

サアイ・サン祭りは、同省の山岳部に暮らすモン族の伝統的な祭りで、今年は2月19日から3日間にわたって繰り広げられた。旧正月や春の訪れを祝い、五穀豊穣や健康、家内安全などを祈って行われる。祭りは古くから、村の若い男女が交流する場でもあり、多くのカップルの結婚のきっかけとなっている。


祭りでは、ネウという木の周りで、愛情を伝える伝統的な歌を歌う。


男性たちは伝統のコマ回しの腕などを競った。

◇ガウタウ祭り
ムオン・クオンとも呼ばれるファロン地区では19日、モン族の有名なガウタウ祭りが行われ、数千人もの見物客らが訪れた。

この祭事も農作物の豊作や人々の健康を新春に祈るもので、ネウという木を立て、その周りで民族独特のさまざまなゲームやスポーツなどが繰り広げられる。

この祭りも、山岳で農業を営む人々が仕事を小休止し、楽しむひとときだ。3日間の祭りが終わると、新しい年の農作業が始まる。

◇サパの伝統楽器、ケン・ホアの祭り
ケン・ホアとは、ラオカイ省の山岳民族らの伝統的な管楽器だ。先が丸く、花(Hoa)のようだというところから、この名前で呼ばれている。

2月19日に、サパ人民委員会とサンワールド・ファンシーパン・レジェンド・サパ観光地区は、「北西の春の色」をテーマにした、2回目となるケン・ホア祭りを開催した。この祭りは、高原地方の独特の音楽文化を紹介するイベントとなっている。

ステージでは、モン族による楽器の演奏披露が行われたほか、モン族の踊りの大会が行われ、7チームが参加。このうち4チームはサパ地方の踊りのチームで、3チームは近隣のイエンバイ省、ハザン省、ライチャウ省の住民らで結成されたチームで競った。また、ラオカイ省武道協会が「ファンシーパン(同省にあるベトナム最高峰の山)の勇者」と題して伝統的な武術を披露。竹馬や、綱渡りの要領で落ちないように青竹を渡る伝統的な競技=写真㊦=なども行われた。

祭りのほか、今年はファンシーパン山に、この地方の人々の信仰や精神性を伝える複合的な文化施設も開業したばかりで、多くの訪問者があった。また、11階建ての高さがある一枚岩を登る体験や、巨大な銅製の仏像の拝観などもあり、国内外から観光客らの人気を集めている。