フォン川にかかる新たな観光スポット 希少木材使ってぬくもり演出、フエ市

古都フエの顔でもあるフォン川(Sông Hương)の南岸に、木製パネルで覆った水上散策路が近く完成する=写真。市内を流れる同川は、漢字表記の「香河」から「パフューム・リバー」とよばれ、観光客に人気だが、その水辺に作られる散策路は、新たな注目スポットになると期待されている。

散策路の建設費用は総額約530億ドン(約220万ドル)にのぼる。プロジェクトは、韓国国際協力団(KOICA)が約600万ドルを供出している同市の環境改善プロジェクトの一環として整備された。散策路の完成で、既存の歩行者専用道路であるグエン・ディン・チュー通りと、リ・トゥ・チュオン公園が結ばれることになる。

今年2月に着工。当初は11月完成の予定だったが、市当局が、水かさの増える雨季前の完成を目指して、工事をスピードアップさせていた。木製の散策路は幅4メートル、全長380メートル。川底にコンクリート製の支柱を建てて、フォン川南岸の水面上に架けられている。

橋の表面は、中国南部やベトナムに自生し、古くから希少で高価な建築資材として活用されてきた「リムの木」をパネル状にしてはりつけた。

このリム材の使用をめぐっては、希少な木材で高価であることや、国際自然保護連合(IUCN)が絶滅のおそれのある希少植物に指定していることなどから、プロジェクトは発足当初から、一部の文化人や専門家らの批判を受けていた。また、リム製のパネルは表面のところどころにひびが見られるとの指摘もあった。

これに対して、プロジェクトの中心となって工事を請け負うトゥア・ティエン・フエ灌漑建設社のバン・ビェット・タイン社長は、「暑い天候下ではリム材にしばしば見られる現象で、心配はない」と反論。地元行政当局も、アンケート調査などで事前に市民らの意見を聴取し、「リム材を使うことに対して、市民からの圧倒的(90.6%)な賛同を得た」(同市当局)と、説明していた。

フエ市は1802年から1945年までベトナムを支配していたグエン王朝のもと、首都として栄えた歴史的都市。海外からの観光客も年々増えているという。