ニャムズオン寺や洞窟の探検~ハイズオン省キンモン県

ハイズオン省キンモン県のニャムズオン寺のある地域は、近年新たな観光地として注目を集めている。国内外の歴史や文化を知ることができる場所であることから、多くの観光客が訪れる。地質、景観、歴史的に価値のある洞窟群探検も人気だ。

写真㊤=ニャムズオン寺

観光地としての魅力
ハノイから約90キロ離れたニャムズオン寺のある地域は交通の便が良く、多くのツアーが組まれている。

特別国家遺跡群(アンフ、キンチュー、ニャムズオンという3地域が含まれる)の中には、キンモン県ズイタン市ニャムズオン村のタインクアントゥ寺が含まれる。陳朝時代に建てられた同寺は、タオドンベトナム宗派の総本山で、伝説とも関係があり、歴史的に重要な洞窟群を有するなど様々な特徴を持つ。そのため他の地域に比べ、キンモン県には「パワースポット」を巡る多くのツアーがある。

最も権威のある僧侶であるティック・ジエウ・モ僧は、寺の歴史について次のように話す。「17世紀ごろに、トゥイ・グエット僧(戒名、ダオ・ナム・トン・ザック)がタオドンベトナム宗派をベトナムで発展させました。トゥイ・グエット僧は現在のニャムズオン寺で修行しました。以来、ニャムズオン寺はタオドンベトナム宗派の総本山となった。トゥイ・グエット僧と二代目のトン・ジエン僧の遺骨は、タインクアン寺の二つの古い塔に保管されている。トゥイ・グエット僧が火葬された日はニャムズオン寺のお祭りの日となりました。お祭りは毎年3月5日~7日(陰暦)に開催され、多くの人々が参拝します」。

ニャムズオン寺や洞窟群からは多くの出土品が発掘されている。象、サイ、虎、チーター、イノシシ、ハリネズミなど27種類の動物の化石、ポンゴという生物の歯、磨製石器、銅製の容器、陶器の壺-などだ。これらの出土品は展示用ケースの中で保存されており、興味深く、価値ある展示品として注目を集める。また、ここには26の洞窟からなる洞窟群があり、「雄大な自然を感じさせる傑作」と称されている。

洞窟群の中の一つ、ティンニエム洞窟に入ると、ひんやりとした空気が体を包む。洞窟の中では、天井から水滴が滴る音や風が吹く音が響く。この洞窟について、ティック・ジエウ・モ僧は「ティンニエム洞窟は、風の洞窟やゾイ洞窟とも呼ばれます。この洞窟で、かつてトゥイ・グエット僧とその弟子たちが坐禅を組み、共に学んだと言われています。インドシナ戦争の時には、ホアン・クオック・ベト、レ・タイン・ギ、グエン・コン・ホアらの革命戦士がこの洞窟に身を潜めていました。ベトナム戦争の時には、この洞窟は爆撃部隊の基地として利用され、さらに部隊の病院の役割も果たしていました」。

寺の後ろの道に沿って進むと、トイ洞窟にたどり着く。4月、5月になると道の両脇に植えられたテンニンカの花が咲き乱れ、甘い香りが漂う。手つかずの自然の状態であるため、トイ洞窟の入り口はとても狭い。奥に進むほど洞窟は広く、暗くなっていき、多くの美しい鍾乳洞が現れる。玉座や象、ライオンなど様々な形の鍾乳洞があり、想像が膨らむ。

この洞窟からは後期旧石器時代のものとみられる出土品が発掘された。寺の左側には樹齢800年の柿の木や30種類の猿がいる猿園などがあり、この地を、より魅力的なものにしている。

これらの洞窟以外にも、タンザン村のモ洞窟や、ミンタン村のハムロン洞窟、タムロン洞窟、ドックティット洞窟などの観光が可能だ。ハムロン洞窟の近くには200匹ものダチョウがいるダチョウ牧場があり、ダチョウに乗るサービスもある。ダチョウの卵やハム、この地域で有名なタマネギ、にんにく、葛、米、お酒などのお土産物も充実している。


タインホア洞窟への入り口

観光地としての課題
こうした魅力に溢れた地ではあるが、観光地として更に発展させることが今後の課題だ。発展に向け、ニャムズオンでは長期的戦略が求められる。ニャムズオンは34.23ヘクタールの広さがある。まず、ニャムズオンを同じ特別国家遺跡群のアンフ、キンチューや近隣地域と合わせた総合的な観光地にしなければならない。そのためには、交通網、駐車場、休憩所、トイレ、タインホア洞窟やトイ洞窟、ティンニエム洞窟への入り口、発掘された出土品の展示場の整備、タオドンベトナム宗派の僧侶が修行する場、トゥイ・グエット僧の像を設置する-などの準備が必要だ。

ニャムズオンでの観光事業を検討している多くの旅行会社はこう話す。「ニャムズオンには、観光客を惹きつける魅力があります。観光地としてさらに発展させるために、インフラや観光設備への投資が求められる。特に、洞窟への入り口、トイレ、洞窟内の電気設備の整備が重要です。県の観光地として積極的に宣伝を行うことも必要でしょう。また、物質的な投資以外にも、ガイドや看板、遺跡解説を行う専門家の配置が求められます」。

ニャムズオンの知名度は、いまだに、低い。そのため、特別国家遺跡群全体の宣伝に加え、ニャムズオンについても個別に発信する必要がある。国内外の人に広くニャムズオンを知ってもらうためには、観光誘致のため旅行会社や雑誌会社などを招待する▽幅広いメディアで広告を流す▽地方と旅行会社が提携する―などの方法が有効だと考えられている。