外国の豪華客船寄港に熱視線 観光総局が国際セミナー開催

最近、豪華客船によるクルーズの寄港先として、ベトナムの人気が高まっているという。文化・スポーツ・観光省傘下の観光総局とクアンニン省人民委員会は6日、サービス面などの改善点を検討して客船寄港の誘致につなげようと、客船による観光発展をテーマとした国際セミナーを行った。

セミナーには、ベトナム側から多くの観光業関係者が参加したほか、アメリカの豪華クルーズ運営会社「ロイヤル・カリビアン・クルーズ」や香港の「ゲンティンクルーズライン」、イタリアの「コスタ・クルーズ」や「MSCクルーズ」などからも約150人が出席した。

セミナーでは、ベトナムの豪華客船による観光の現状などが報告された。

これによると、寄港先としてのベトナムの人気は右肩上がりで、2017年には、日本、中国、台湾、タイに続き、客船の寄港回数で第4位。ベトナムを訪れる客船は年間500隻で利用者数は約30万人にのぼり、ベトナムを訪れる外国人観光客全体の3%近くを占めるという。

客船の利用者は、ヨーロッパの国々やオーストラリア、日本、韓国が中心で、中国やアセアン諸国からの観光客が増えている。クァンタム・オブ・ザ・シーズ号やドリームクルーズ号、スーパースターアクエリアス号といった有名な大型豪華客船が、クアンニン省のホンガイ国際港やトゥアティエン=フエ省のチャンマイ港、ダナン港、ニャチャン港、サイゴン港、ブンタウ港、フーコック港などの港にたびたび停泊した。

一方で、「ベトナムでの滞在期間が短く、港の近隣の観光地に十分恩恵をもたらすにいたっていない」といった課題も指摘された。船内でのサービスもまだ十分に魅力的だとは言えず、売上高もまだ少ないという。

大型客船が寄港できる港のインフラ整備は進んでいるが、船外に外国人観光客に特化した施設をもつ港は多くはなく、さまざまな規制も多い。また、教育された人材の不足などもあり、港を拠点とした観光サービスは満足のいく水準に達していない、などの問題点も挙げられた。

セミナーでは、ベトナムの参加者らは、船舶サービス業や豪華客船受け入れの経験が豊富な国々で観光業に携わる参加者らと積極的に情報交換。ベトナムの船舶サービス業の発展や、地域の魅力の開拓などにつなげたいとの期待を示した。

会合に出席した観光総局のゴー・ホアイ・チュン副局長は、「ベトナムは海洋国であり、海での経済発展が、国の発展のモチベーションの一つになっている」などと説明=写真㊤。ベトナムを東南アジアの中心に位置する「アジアの南北の交差点」だとして、「世界的な近代港である香港やシンガポール、上海にも近く、クルーズ旅行の日程に組み入れやすいのではないか。新たに港も整備しており、世界最大級の豪華船の寄港の要望にも応えられる」とアピールした。

ベトナム側からの参加者からはほかにも、3260キロメートルの海岸線に散らばる美しいビーチや3000あまりの島々、世界遺産や多様な文化、食べ物などベトナムのさまざまな観光資源が紹介された。

また期間中、参加者らは、ベトナム初の大型客船専門の国際港として整備されたハロン湾のホンガイ港(クアンニン省)も見学した。


ホンガイ港に停泊する豪華客船「セレブリティミレニアム号」