世界最大のソンドン洞窟、アジアのアドベンチャーツーリズムの拠点に

ベトナム中部のクアンビン省、フォンニャ=ケバン国立公園にあるソンドン洞窟。その規模は世界最大を誇り、ギネスワールドレコーズやアソシエーション・ワールド、ワールドキングスの3機関によって認定されている。洞窟の魅力は、鍾乳洞独特の岩石や地下に眠る川と湖、神秘的な植物といった独特の自然景観を持つこと。特に、専門家が新しい発見を発表した今、冒険愛好家たちの熱い視線が注がれている。

■見えない川底、ミステリーの宝庫
洞窟の専門家にとって、ソンドン洞窟はいまだ多くの謎に満ちている。英国王室の洞窟専門家によると、ソンドン洞窟と1994年に発見されたトゥーン洞窟は、全長600mの地下河川でつながっているとみられ、もしこの仮説が証明されれば、ソンドン洞窟は、大きさと体積の双方で世界最大となる。

洞窟ツアーを主催する旅行会社のオキサリス社と、ハワード・リンバード氏が率いる英国洞窟研究協会(BCRA)の探検家はこのほど、フォンニャ=ケバン国立公園管理委員会と協力し、世界のトップダイバーを招いて、河川に眠る地下洞窟の調査を行った。

調査に参加したダイバーたちは、「当初、川の深さは50mから60m程度だと予測していたが、実際には深さ77mまで潜っても、川底は見えなかった。安全上の理由からそれ以上は潜れなかった」と話す。また、深さ60m地点の構造を調べたところ、洞窟は深くなればなるほど、その幅が広くなることも分かった。

洞窟専門家のジャソン・マリンソン氏は、「川の深さを予測するのは不可能だが、そこには確かに発見されるべき魅惑の世界がある」と語る。

■クアンビン特有の構造と自然景観
クアンビン省は2013年、オキサリス社にソンドン洞窟のツアー実施を認可した。ソンドン洞窟のほかにも、フォン・ニャ洞窟、ティエン・ソン洞窟、トゥ・ラン洞窟のツアーや森のトレッキングツアーも提供しており、同省は今後、サイクリングや登山、地下河川のダイビングといったツアーの認可も検討している。

同省人民委員会のチャン・ティエン・ズン副委員長は、「クアンビンは、冒険ツアーの開発に必要な条件を持ち合せている。優遇政策を提供して、クアンビンをアジア最大のアドベンチャーツーリズムの拠点の1つにする計画がある」と明かす。

また、ズン氏は、「クアンビンへの訪問者、特に外国人旅行者数は増加を続けており、アドベンチャーツーリズムを発展させるチャンスはある。私たちの省には、そのための政策があり、投資家に最適な条件を提示することを約束する」とも述べた。

最近、ハノイで行われたソンドン洞窟の新発見に関する記者発表会で、オキサリス社のグエン・チャウ・ア氏は、「洞窟の構造や自然景観は、クアンビン特有のものであり、アドベンチャーツーリズムの開発に生かすことができる。ソンドン洞窟のツアーは、世界で最も人気の高いツアーの1つであり、洞窟の謎を解明することは、エベレストに登頂した人を含む多くの人々の夢でもある」と語った。

ソンドン洞窟は、フォンニャ=ケバン国立公園の中央部にあり、全長約9km、幅175m、高さは200m。2009年から10年にかけて英国洞窟研究協会によって調査が行われ、2013年に公開された。200万年から500万年の年月をかけて形成されたとみられている。