自転車活用した「スマート観光」実施へ フエ市、来年までに2400台を導入

ベトナム中部、トゥアティエン=フエ省の省都、フエ市が、観光客の足に自転車を活用するプロジェクトを展開している。来年フエで開催される予定の大規模な観光イベント「フェスティバル・フエ2020」を前に、市内外で2400台を導入する考えで、環境に優しい「スマート観光都市」として世界的に発信したい考えだ。

同省人民委員会のファン・ゴック・トー委員長らがこのほど、来年の本格導入に向け、観光客が利用しやすい駐輪所の開設場所などを調査した。

自転車を活用した環境に優しい「スマート観光」の試みは、環境保護のために企画。自転車を使った観光は、ヨーロッパからの観光客にとどまらず、最近ではベトナム国内の観光客の間でもトレンドとなっている。フエ市のシステムでは、利用者がスマートホンのアプリでQRコードをスキャンして自転車の鍵を開閉し、GPS装置を使って移動位置なども調べることができるという。

これによって、フエ市内を流れるフォン川や周辺の観光地への移動が、自転車を使い、快適に、環境を保全しながらできるようになる。市では「フェスティバル・フエ2020」を前に、市内観光向けに約400台、市郊外への移動用に2000台を配置する計画で、ベトナム国内で自転車を利用した大掛かりなスマート観光プロジェクトの初めての実例となる。

トー委員長は、このプロジェクトによって排気ガスが削減され、環境保護に貢献できるだけでなく、「『自然環境に優しいスマート観光の実施都市』として、フエ市の国際的イメージを向上できる」とプロジェクトを評価。フエ市は、大気汚染のない観光都市を目指しているため、自転車を使った観光と並行して、今後は市民向けにも、路面電車や電動バスなど環境に優しい公共交通機関を開発するとしている。