夏休みに向け観光立て直し、小規模事業者を支援へ 副首相と地方行政が国内旅行に焦点

ブー・ドゥック・ダム副首相はこのほど、新型コロナウイルスの感染拡大で深刻な影響を受ける観光産業への支援方針を明らかにした。「特に小規模事業者の多くが非常に大きなプレッシャーにさらされており、元気づける方法を打ち出さなければならない」とし、間近に迫った今年のホリデーシーズンや夏休みに向けたスケージュールづくりを、関連省庁に要請した。

写真㊤=ホイアン、ダナンの観光客。今年1~5月の国内の観光収入は半減している

関連省庁やベトナム観光協会(VITA)、ハノイの旅行会社などとの会合で表明した。地域密着観光の小規模事業者やホームステイサービスをする事業者について、額は大きくないものの、地方の貧困対策や生活水準向上に重要な役割を担っている点を指摘。そうした事業者を支援するよう関係省庁に求めるとともに、経営者、従業員など関係者に対し、安全なベトナムの旅行プロモーションやイベントの企画を提案した

ベトナム政府観光局(VNAT)のグエン・チュン・カイン長官は「海外旅行がストップしている今こそ、国内旅行のプロモーションが重要だ。地域の観光業者を支えるために、年末までに、宿泊施設や設備の電気代を製造業と同程度に引き下げるべきだ」と提案。ベットラベルのグエン・クオック・カイ社長は「政府は7~10月までのピークシーズンに合わせて、国内旅行者を増やす施策を打ち出すべきだ。プロモーションのかぎとなる地域の設定や、 航空会社やその他のサービス業などとともに、旅行需要の増加につながる観光産業ネットワークの創造も必要だ」と訴えた。また、旅行会社への金融支援や歴史的遺跡の入場料の割引など、国を挙げてのアトラクションの開催を要望した。

VITAのブ・テ・ビン副会長は、「まだ、多くの地域は旅行者向けの値下げなどは実施していないが、 たとえ割引幅が小さくても、この困難を観光産業で共有するという意味合いをもつことになる」と話した。

ベトナムの観光業界には約4万社の企業があり、約450万人が働いている。VITAによると1~5月の海外からの観光客は、前年同期比50%減の約370万人。一方、国内の観光客は同58.5%減の1600万人。同時期の観光収入は47%減の150兆3000億ドン(約7010億円)にダウン。宿泊施設の稼働率も約半分の約20%となっている。