農村ツアーがブーム 経済発展の起爆剤に

農村体験や田舎をテーマにした観光が各地で人気を呼んでいる。地域経済の活性化だけでなく、伝統文化の保存継承という点からも期待は高い。ただ、小規模で似通った内容が多く、今後は地域間のネットワークづくりなどが課題となる。

新地方開発中央調整室によると、国内には1300の観光アトラクションがあり、うち70%が地方で行われている。ニンビン省のタムディエップ市では、地域の魅力に触れてもらおうとこのほど、組合と農園主が協力して、ホームステイやガーデニング、フィッシングツアーを実施した。地元農業観光組合のトリン・バン・チェン・ディレクターは、「地域の特産品を作る農家や酪農家らが昨年から、観光振興のために他の農場と協力していくことを決めた。われわれの観光モデルは、一村一品プログラム(OCOP)の4つ星にも登録された」と胸を張る。

ベトナム観光総局のグエン・チ・タン・フオン副局長は「農業や集落をベースとする観光モデルは、地域の一村一品の消費を促し、数百人規模の安定雇用を生み出す」と評価。ただし、「これらの観光モデルの規模は小さく、しばしば自然環境や文化的背景が似ているなど、だぶり感や単調さもぬぐえない」と指摘した。

行政間の連係も課題の一つだ。農政や観光行政、文化行政にまたがることから、中央の政府や地域の省において行政間の足並みがまだ十分に揃っていない。こうした課題を乗り越えようと、農業農村開発省と文化スポーツ観光省は、2021-2025を計画期間とするプロジェクトで協力。計画では、2025年までに、OCOPで3つ星以上に登録された、少なくとも200の観光地のサービスやアトラクションを結ぶネットワークを作ることを目標としている。また観光的価値の高い伝統工芸村のうち、50%の参加を目指している。

文化スポーツ観光省のドアン・バン・ベト副大臣は、「地域において、まず観光計画と社会経済発展計画を統一しなければならない。そのうえで、それぞれの地域で、観光を持続的に発展させるための専門的なアセスメントをすることが必要だ」と語った。