フーコック島、外国人観光客の試験的受け入れへ 開始時期は11月以降に延期

ベトナム政府は今月の再開を予定していた南部キエンザン省のリゾート地、フーコック島への外国人観光客受け入れ再開を、11月以降に延期した。先月末、島内で新型コロナウイルスの感染クラスターが発生したため。文化スポーツ観光省が求めた同島への外国人観光客の試験的な受け入れ再開は当初、ワクチン接種完了などを条件に10月から再開される予定で、観光業回復の一歩になると期待されていた。

◇島民へのワクチン接種急ぐ
9月に承認された計画では、フーコック島への来訪が許可されるのは、新型コロナワクチンの2回の接種が終了した人、または過去に新型コロナに罹患し、ベトナムの定める機関が承認した回復証明書を所持していることが条件となる。

10月から12月にかけて、毎月2000~3000人の外国人観光客を受け入れる予定で、感染予防策として外国人観光客らはチャーター便で入国させ、島内で訪れることのできる観光地やリゾートなどを限定していた。

この試験的な措置を経て、来年1月以降の第2フェーズでは商業便も再開させ、より多くの外国人観光客を受け入れる予定だった。これによって毎月5000~1万人まで外国人観光客らの訪問が増えると見込んでおり、計6カ月間の試験期間を通じて、2万5000人から最大で4万人規模の外国人観光客が島を訪問するとみていた。

フーコック島での6カ月間の試験受け入れがうまくいけば、ベトナム政府は、ハロン湾(クアンニン省)、古都ホイアン(クアンナム省)、ビーチリゾートのニャチャン(カインホア省)、高原の避暑地、ダラット(ラムドン省)など、外国人に人気の他の観光地の開放も検討する。グエン・バン・フン文化スポーツ観光相は、同省が「新型コロナウイルスの感染制御と観光の維持を両立するためのバランスを注意深く探っている」と話した。

タイランド湾に浮かぶ風光明媚なフーコック島は観光産業が盛んで、フーコック市人民委員会のヒュイン・クアン・フン委員長によると、島には5ツ星ホテル1万5000室を含めた宿泊施設が2万5000室、エンターテインメント施設や都市型ショッピングモールなどが開発されているという。コロナ対策の面では、4356の病床を確保し、島である利点を生かしてこれまでは患者数を少数に抑え込んできた。

今年は、9月までにキエンザン省を訪れた観光客が国内観光客に限定され、年間目標の約21%の230万人にとどまったことで、例年と比べ観光収入が約10兆ドンも減少した。観光が主要産業であるキエンザン省とフーコック島への経済回復の支援として、一帯の18歳以上の住民に対へのワクチンの優先割り当てが行われたが、対象住民の接種はまだ約35%で、フーコック市では、さらに25万~30万回分のワクチンが必要になるとしている。

◇観光活性化の起爆剤
経済発展と公共投資、持続可能な輸出を促進するというベトナム政府の方針を実現させるために、文化スポーツ観光省は全国にまたがる観光促進プランを準備している。質の高い観光商品を企画し、手ごろな価格で販売する企業を支援するねらいがある。

この計画のもとで同省は昨年、「ベトナム人よ、ベトナムを旅しよう」と呼び掛ける、「安全で魅力的なベトナム観光キャンペーン」を展開。国内での感染が抑えられていた昨夏は、効果を発揮した。

今後は、新型コロナ後を見据え、持続可能性や自然保護といった観光のトレンドに加え、これまでにはなかったナイトライフを楽しむ観光、食やエコなどをテーマにした観光、ゴルフなども、開発の余地がある。これらに加えて、「安全性」がさらに重要視されることになる。コロナ対策の面では、「ベトナム・セーフ・トラベル」と名付けられた観光支援アプリや、電子版の医療情報申告システムやワクチン接種証明書なども改良されており、今後の観光促進に役立つと期待される。

さらに、同省では観光産業におけるデジタル化強化を推し進めており、人気の観光地や観光サービスについての情報などを網羅した、国家レベルの観光データベースの構築を急いでいる。