ベトナム観光復活の見通しは? スイスの旅行代理店にインタビュー

スイスに拠点を持つ旅行代理店、ディーテルム・トラベル・ベトナム(Diethelm Travel Vietnam)のジェフ・レドル、マネージングディレクターは、毎年数千人のスイス人観光客をベトナムに呼び込んできた。このほどベトナム・エコノミック・ニュース(VEN)のフン・ク―記者が、新型コロナウイルス収束後の観光についてレドル氏にインタビュー。レドル氏は「ベトナムが、パンデミック後も欧州の観光客を魅了し続けることに、何の疑いもない」との見方を示した。

写真㊤=メコンデルタ観光を楽しむスイス人観光客(資料)

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スイスでは、観光先としてベトナムの人気が高い。メコンデルタ観光をする人たちは、多様な景観や文化遺産、未知の体験に大いに関心をかきたてられるようだ。実際、過去10年において、ベトナムに来るスイス人観光客は増加。2018年11月には、直行便が就航しさらに環境が整った。国家観光管理局によると、2019年には前年比5.9%増の3万6577人のスイス人がベトナムを訪れた。

にグエン・スアン・フック国家主席が11月末、スイスを訪問した際、ベルン市のアレック・フォン・グラッフェンリード市長は「スイス国民は、ベトナムの美しい景色に感銘を受けており、ベトナムへの旅にも関心を抱いている」と話した。これに対し、フック国家主席は、「スイス国民に、もっとベトナムに観光に来てもらい、国や人々、文化、遺跡のことをもっと知ってもらえれば」と応じた。

こうしたなか、ベトナムがパンデミック収束後、以前のような観光人気を取り戻せるかどうか注目される。以下、フン・クー記者がレドル氏に聴いた。

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─スイスからベトナムに来る人は、どのような旅を好むのでしょうか?

レドル氏 「スイス人は、たいていビーチのあるところを周遊する旅行をします。快適な環境のもと、地域の文化や遺跡、世界遺産を巡ることに関心が高く、アウトドアでのアクティビティーや野生生物の観察も楽しんでいます。いわゆるマス・ツーリズム的な人気観光スポットや、地域との関係性の薄い大規模ホテル、リゾートといったものを明確に避ける傾向があります」

─スイス人から見たベトナムの長所や美点は?

レドル氏 「ベトナムには、魅力的な歴史と豊かな文化遺産があります。美味な料理も多彩にある。治安がよく、一年中いつでもビーチ・ホリデーを楽しめる快適な気候という点も魅力です。数年前、ビザの手続きが簡素化されたことで、旅行がより身近になりました」

─観光再開に向けて、ベトナムがすべきことは?

レドル氏 「最優先すべきは、ワクチン接種を可能な限り早く進めることです。ここ2、3カ月で、1日あたりのワクチン接種は上昇しています。もう一つ重要なのは、ベトナムのどこに行っても、観光客にとって容易で理解しやすい手続きを確立することです。どこの省に行っても手続きが同じになるようにする必要があります。省によってルールが異なるのであれば、観光客には理解できなくなるでしょう。特に、スイス人観光客は、あちこち周遊することを楽しむので、例外なくどの地域でも回れるようにすることが必要です」

─パンデミック収束後、ベトナムはスイス人観光客を魅了し続けることができるでしょうか?

レドル氏「ベトナムがこれからも、スイスをはじめ欧州の観光客を魅了し続けることには疑いもありません。スイス人のベトナムに対する関心という点において、パンデミックも何ら影響がありません。ベトナムとスイスの観光協力が決してストップすることはない。そして、ディーテルム・トラベルとチューリヒにある姉妹会社、トゥーラシア(Tourasia)がクライアントに対してベトナム観光の売り込みをやめることはありません。アジアのアーティストによる展覧会開催などのイベントや、トラベルフェアーへの参加などを通じ、ベトナム観光を売り込み、同時にベトナム人のスイス観光ツアーも組んでいきたい。その際、ベトナムの旅行代理店にとって、トゥーラシアは、よきパートナーとなるでしょう」。