外国人観光客受け入れ、3月15日全面再開 ベトナム

ベトナムは、一時停止していた外国人入国時のビザ免除政策などを、新型コロナウイルスの世界的拡大前の状態に戻し、3月15日から国際観光を全面再開すると決めた。3日、オンライン形式で開催された定例会見で、外務省のレ・ティ・トゥ・ハン報道官が発表した。

新型コロナのために2年間も中断していたビザ免除政策についての最新情報について問われ、ハン報道官は、「外国人観光客、海外に永住しているベトナム人、そしてその家族は、有効な入国書類があれば、ベトナムの規制に従って入国できる」と説明。今後、ベトナムに観光目的で入国したいという外国人は、文化・スポーツ・観光省の規制を遵守してもらう」とした。海外在住のベトナム人の里帰りについては、今年1月再開された商業定期便を利用し、すでに自由にベトナムに入国できるようになっている。

外国人観光客の受け入れ再開は、社会経済の復興を促し、新型コロナ後のニュー・ノーマル(新たな行動様式)のもとでの国際統合に取り組み、さらにはベトナムと、海外の国や地域との貿易を円滑にすることがねらい。ハン報道官は、「ビザの取得や免除などの政策実施を15日から始めるために、外務省は政府に対し、具体的な措置の報告を行ったところだ」と述べた。

計画によれば、「外国人の出入国、乗り継ぎ目的の一時滞在、国内居住になどに関する法律(2014年制定、2019年改正・補完)」の規定をはじめ、入国後の検疫措置の実施や廃止などを定めた文章や入国目的の制限などに即すほか、国際条約や協定、または相互主義原則に則って、外務省がビザの発効と免除を実施していくという。新型コロナ前に、ビザ免除としていたベラルーシ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、日本、ノルウェー、ロシア、韓国、スペイン、スウェーデン、英国の13カ国からの入国者に対しては、一時停止していたビザ免除措置を全面的に再開する。

ハン報道官は、「外国人や企業が迅速に対応できるよう、さまざまな措置についての政府方針など、新たな動きについては外務省が随時、情報を更新していきたい」と話した。

今年3月2日現在、ベトナムが発効する新型コロナワクチン接種証明書である「ベトナム版ワクチンパスポート」は、15の国と地域によって正式に承認されている。承認しているのは、日本と米国、英国、オーストラリア、インド、ベラルーシ、カンボジア、フィリピン、パレスチナ、モルディブ、ニュージーランド、スリランカ、エジプト、トルコとシンガポールだ。

一方でベトナムは現在までに、79の国と地域のワクチン証明書や新型コロナの治癒証明書を公式に認め、それぞれの国の外務省やベトナム国内の大使起案などを通じてこの内容を各国政府に通知している。

◇保健省の議定書に一部不満も
会見では、観光の完全再開に関して、保健省が推奨する感染予防策と制御策の原案についても質問あがった。保健省は、観光客が宿泊している施設からの外出を希望する場合、入国後72時間が経過するまでの毎日、観光客らにPCR検査を義務付けることとした。また、高齢者には旅行を奨励しない、などの項目も原案に盛り込まれたが、これらの規則が「厳しすぎる」「外国人観光客の入国を抑制する可能性がある」などと反発が強まっていた。

これに対しハン報道官は、「ベトナム政府の一貫したガイドラインは、国内の社会経済の回復と発展を促すものだ。今後は、安全で柔軟に新型コロナに適応し、効果的に制御していく戦略へと転換していくだろう」と述べた。

また、今年3月15日から外国人観光客の受け入れを完全再開するという政府の決定は、「観光の再開を促進するだけでなく、外国人労働者がベトナムに再び入国して働き、勉強し、ビジネスを展開するなど、人的な交流を活性化し、投資機会の提供に結びつくだろうと信じている」と歓迎。ハン報道官は、ベトナム当局が、政府の指示を実行するために、あらゆる努力を惜しまない」と付け加えた。

ハン報道官はベトナム当局についても、政府の指示を実行するための努力を展開していると発信。保健省原案の一部項目に関しては、我々が保健省と協力して明確化し、より多くの情報を更新していきたい」と語った。