大メコン圏の観光復活へ 周辺国と協力を

新型コロナウイルス流行からの復活に向けて、ベトナ ムとタイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、中国にまたがる大メコン圏(GMS)の観光協力が、喫緊の課題として浮上している。関連する企業や団体、機関の関心も高く、ポストコロナに向けた仕組み作りへの期待が高まっている。

新型コロナウイルス流行前の2019年、GMSには海外から前年比7%の7400万人が訪れた。アジア太平洋地域を訪れる人の約15%に相当する高い割合を占めていた。3年がたった今、その数字はようやく回復傾向にある。今年上半期、GMSの国々には3200万人が訪れ、今後も増加が予想されている。

ベトナムには今年1-9月、海外から165万人が訪問。国内の旅行者も8680万人を記録し、観光収入は1650万㌦(約24億円)に達した。GMSの国々からも11万人がベトナムを訪れた。渡航の規制緩和が進むと、数字はさらに急増すると期待されている。青い海に緑深い山々、リゾート施設や街の散策など、ベトナムには多様な観光資源があるのも強みだ。世界経済フォーラムの最新のリポートによると、昨年のベトナムの観光産業の発展指数は2019年より8ランクアップし、52位につけ、急成長する国のベスト3に入った。

クアンナム省でこのほど開催された2022メコンデル・タツーリズム・フォーラムで、ベトナム観光総局のグエン・チュン・カイン局長は「より幅広い層の観光客を誘致できるよう、GMSは多様で魅力的な観光商品を作る協力体制を作っていく必要がある」と訴えた。GMSからベトナムに、観光客を呼び込むことのメリットは大きい。アジア開発銀行(ADB)のウーテル・スカルケン・サステナブルツーリズム上級研究員は、観光の強靭性と持続性を維持するために、質の高いインフラや環境への親和性、観光の多様性に向けた政策と規制、投資が必要であると強調した。