ナイトツーリズム 注目される観光の新たな原動力

ベトナムでは、近年、多くの地域や企業が夜間の営業やサービスを開始し、訪問者を引き付けている。観光地のナイトマーケットや歩行者専用道路の設置なども盛んだ。首都・ハノイ市やホーチミン市、クアン市などの主要都市、クアンニン省、ニンビン省、ラオカイ省やダラット(ラムドン省)などでナイトツーリズム(夜間の観光)の充実が図られている。

写真㊤=夜のタンロン城塞見学ツアー、訪問者にとって新たな体験になる

ハノイ市で行われている「夜のタンロン城塞見学ツアー」をはじめとするナイトツアーの観光モデルが旅行会社によって運営されている。クアンビン省フォンニャ洞窟の夜間ツアー、ハロン湾を有するクアンニン省でのナイトクルーズ、古都・ホイアンのライトアップなど、観光地の特色を生かしたナイトツアーも存在する。

ベトナムでのナイトツーリズムの充実は、新たな観光サービスの開発に弾みをつけるとともに、観光商品の多様化につながり、ひいては観光客の滞在期間の延長、消費の増加に貢献する、ととらえられている。

しかし「充実傾向にあるものの、ベトナムのナイトツーリズム(夜間観光)は、その可能性に見合った発展を遂げていない」との指摘もある。観光産業の専門家は「ナイトツーリズムの商品は依然として比較的単調で特徴がみられない。体系的な管理が十分出来ていない」などと述べた。

ハノイの観光開発研究所(VNAT)がこのほど、開催した会議「ナイトサービス 観光産業が突破口を開く機会」の講演者は「ベトナムには観光客に提供するナイトサービスの開発を促進する特別な規制がなく、手法の違い、組織作りや経営方法などに対する意見の違いが出ている」と話した。

また、別の専門家は「ベトナムには多くの魅力的な観光資源があるが、どこでもナイトツーリズムのサービスを整備できるわけではない。全国規模では、優れた文化的価値や自然の景観、優れた集客力、観光システムを構築するための余地があるなど『観光の可能性を秘めた地域』の必要がある」と指摘した。