大阪大学の学生が〝先生〟役 大阪府八尾市でベトナム文化を紹介

大阪大学の学生らがベトナムの社会や文化を発信するイベント「ベトナムの文化を知ろう!~学生たちが見た〝生きた〟学び~」が3月19日、大阪府八尾市の生涯学習センターで開かれた。日本に暮らすベトナム人小学生への支援活動のほか、ベトナムの伝統文化などが学生目線で生き生きと紹介された。

イベントは、八尾市、八尾市国際交流センター、大阪大学大学院言語文化研究科・外国語学部が主催。大阪大学では、講師役の学生を通じて諸外国の現状や文化を広く発信する同様の試みを、外国語学部のある大阪府箕面市で展開しており、これまでにインドネシア、デンマークを取り上げてきた。

ベトナムの紹介は今回が初めてで、900人以上のベトナム人が暮らし、日本有数のベトナム人コミュニティがある八尾市での開催となった。

イベントでは、第一部で「在ベトナム日系企業でのインターンシップ体験」「在日ベトナム人小学生の母語教育」「ベトナム文化」の3テーマを報告。外国語学部でベトナム語を専攻したり、文学部でベトナム文化の研究をしたりしている大学生・大学院生ら計9人が発表を行った。

インターンシップの報告では、現地の日本企業で実践されているラジオ体操や、脱いだくつを揃えるなどの日本の風習が、ベトナム人労働者の間で定着している様子を紹介。「ベトナムと日本の橋渡しをしたいと思うようになった」と、現地学生との交流も交えたインターンシップ体験を振り返った。

続いて、「大阪に暮らすベトナムルーツの子どもたちへのベトナム語教育」と題して、4人の学生が、八尾市内の小学校での実践を紹介。「低学年は遊びながら」「母国文化に誇れるよう導く」などの工夫でベトナム語学習の意欲を高め、保護者からは「子どもがベトナムに関心をもつようになって嬉しい」と喜ばれていることなどが報告された。

ベトナム文化の紹介では、水上人形劇やベトナム書道、同国の無形文化遺産の伝統的なドンホー版画を取り上げ、後継者不足に悩む伝統文化の現状などを、現地での体験も交えた学生ならではの視点で語った。

第二部の「意見交流・交流会」では、ベトナム式のドリップコーヒーと南国のドライフルーツ、緑豆菓子などが出されて、なごやかな雰囲気に。大阪大学に留学中のベトナム人学生らも加わって、参加者と学生らが歓談した。参加者からは「ベトナム語の勉強を嫌がる子にはどんな工夫をしているのか」などの質問があり、教材として使っている日本のマンガのベトナム語翻訳版やベトナムの絵本をなども紹介された。また、ベトナム書道の実演も行われた。

 

学生たちがベトナム独特のドリップコーヒーを入れておもてなし

 

ベトナムのお菓子をいただきながら歓談

伝統のドンホー版画や漆画の作品展示も