晩秋から初冬にかけて、ハノイの通りのあちこちで、「ホア・ミ」と呼ばれる菊の花を売っているのが見られます。清楚な花が自転車やバイクのかごに山盛りに乗せられた様子は、小さい白い雲のようでかわいらしいです。(VNLハノイ)

ホア・ミ菊(クック・ホア・ミ=Cúc Họa Mi)は、花が小さい茶碗のような形をしています。花びらは白くて細長く、花の芯は明るい黄色です。控えめですが、よい香りがします。ホア・ミ(ナイチンゲール)という鳥が花の名前の由来で、小鳥が歌っている姿を想い起こさせます。

この花は、ベトナムでは純潔や清楚の象徴です。また、子どもの生命力やがんばりなども連想します。ナイチンゲールのようにかわいらしい声で歌っている様子や、毎日元気に生きている様子を、ベトナム人はホア・ミの花のイメージに重ねるのでしょう。

ベトナムの首都、ハノイは急速に発展していますが、現代人は仕事のストレスや忙しい生活に疲れています。伝統的な遺跡やお寺に行ったり、自然の花や葉、木の緑に触れたりしたくなるのは、疲れを癒すためで、この期間、多くの人たちがホア・ミ菊の花束を買い求め、家に飾ったり写真を撮ったりするのも、そのためだと思います。ホア・ミ菊を栽培している畑へ行って、アオザイなどの晴れ着姿で記念撮影する人も少なくありません。


アオザイを着てホア・ミ菊の畑で記念撮影する人も


控えめだが、よい香りも楽しめる

ベトナムでは、ホア・ミ菊は親子愛の象徴でもあります。子どもがホア・ミ菊やナイチンゲールのように、元気に生き生きと成長してほしいという親の願いを花に重ねているからです。この時期、お母さんと娘などが、ホア・ミの花と一緒に記念写真を撮ったりするのですが、その際にベトナムの親はホア・ミ菊の名前の由来や、そこに込められた思いを子どもに伝えるのです。

 

みなさんも、この時期のハノイに来たらぜひ、ホア・ミ菊を楽しんで、家族のことを思ってくださいね。