ベトナムの「かまどの神様」にお供え 2月1日、テト準備も本格化 

ベトナムのお正月(テト)は、旧暦12月30日~1月3日(今年は2月8~12日)ですが、12月23日にはベトナムで家を守る「かまどの神様」に礼拝する習慣があります。今年は2月1日がその日で、これ以降、テト準備も本格化します。(VNLハノイ)

かまどの神様はこの日、台所から天に昇り、天の神様に各家庭の一年間の行いなどを報告すると古くから言い伝えられています。そこで、かまどの神様のために祭壇を作り、新年も健康、幸福、繁栄などを授けてくださるように祈り、偽物の紙幣などを焼いてかまどの神様にお供えするのです。

この日までに、ベトナム人は食べ物や果物、お酒やビール、タバコ、花などのお供え物を少しずつ準備します。礼拝には偽物のお金を使います。台所に居るとされる神様ですから、キッチンで拝礼する家が多いのですが、他の部屋に祭壇を設ける場合もあります。


かまどの神様へのお供えものを飾った祭壇

かまどの神様は、新しい洋服に着替え、鯉に乗って天に昇ると伝えられているので、紙でできた冠と靴と鯉のセット=写真奥=をお供えします。また、お供え用の偽物のお金や冠などを燃やした灰を湖や川に撒いたり、神様が乗って天に昇れるように生きた魚を放流したりすることもあります。


お供えした紙製の冠や紙幣は燃やされます

テトは、ベトナムでは1年でもっとも大切な祝祭日で、各家庭では、テト用の食べ物や飾るための桃の花などを購入し、準備します。また、もち米を使った正月用のお祝い料理、バンチュンづくりなどの準備も始めます。かまどの神様の日は、テトの準備を本格的に始める日ともされていて、この日以降、ベトナム全土がテト準備の雰囲気に包まれます。

家庭で行われる習慣なので、観光客は見る機会も少ないかもしれませんが、かまどの神様の礼拝など、ベトトナムにはおもしろい儀式や習慣がたくさんあります。ぜひたくさんの人に来て、見て欲しいと思います。


テトには欠かせないバンチュン。もち米などを「ゾン」という植物の葉で包み、ゆでます


大なべでバンチュンをゆでています


桃の花もテトには欠かせません。この時期ハノイでは街のあちこちで売られています

【かまどの神様の祭事】 ベトナム語でông táo(オン・タオ)、Táo Quân(タオ・クアン、灶君)と呼ばれる「かまどの神様」「台所の神様」にお供えをして、新年の安全と幸福を願うテト前の行事。「灶君節」ともよばれる。