春には、たくさんの花が咲きますが、特にテトに欠かせない花と言えば、ホア・ダオ（Hoa đào）、つまり桃の花です。テト前の桃を栽培するハノイ市郊外のニャッタン（Nhật Tân）村を訪問すると、農家の方たちが、一生懸命栽培された桃の花の出荷に大忙しでした。（VNLハノイ）

ニャッタン村は、ハノイの西湖の近くにあります。この村からは日本の援助で建設されたニャッタン橋が見えます。テトには若者が大勢来て、記念写真などを撮る人気のスポットです。

ベトナムでは、桃の花は悪魔を遠ざけると信じられています。この時期は、どこの家庭でも必ず桃の花を飾りますが、それには新たな気持ちで新年を迎え、家族みんなが健康で穏やかに過ごせるようにとの願いが込められているのです。このような桃の農園を訪れると、春が来たことが感じられ、新年の喜びがわいてきます。

自転車に桃の花を乗せて市場で販売に行く農家

テト前には、市場もとてもにぎやかになります。桃の花のピンクは、寒いハノイのテトの日々に、暖かい色を添えます。

この時期には、アオザイを着て、桃の花と記念撮影をする女性も多くいます。春の美しい瞬間を写真に残し、自分の記録にしたいのです。

テトにはバン・チュン（bánh chưng）、バン・テット（bánh tét）などの伝統的な料理やお菓子、新しく購入した服など、欠くことのできないものや形式、味わい深い風習がたくさんあります。また一方で、ベトナム人は心の豊かさもとても大切にします。桃の花は、その心の豊かさの象徴なのです。