旧正月(テト)が明けると、ベトナムではお寺に新年の参拝に行く習慣があります。新年がよい一年間になることを祈念するほか、お寺ではさまざまな新年の祭事が行われるので、それを見物するのも楽しみの一つです。(VNLオリジナル)

ベトナム北部には歴史が古い寺院がたくさんありますが、最も代表的なのは首都ハノイ郊外にあるフォン寺とタイ寺でしょう。

「フォン」とは、ベトナムで「香り」という意味です。この寺はとても大きくて、山のふもとから頂上まですべてが寺の境内です。この寺はハノイ郊外のミドゥック県フォンソン村にあります。17世紀の末に建立され、とても霊験あらたかだとされています。

フォン寺では、テトの祭事が2月13日(旧暦の1月6日)に始まり、約3カ月間にわたってさまざまな行事や祭事が繰り広げられます。今年も、おおぜいの参拝者でにぎわっています。

このお寺を参拝するのはちょっとたいへんです。まず、小舟に乗ってフォン山のふもとまでいかなくてはなりません。そこから山を登っていくと、洞窟のなかにお寺があるのです。
 
 

フォン寺にむかう参拝者らを乗せた小舟。テトの時期は大渋滞となる

お寺では伝統的な踊りなどが奉納されます。寺までの沿道にはで店が並び、訪れた人はここでお供え物などを購入して、お寺に奉納します。
 


沿道の出店でお供え物を選ぶ参拝者

一方のタイ寺は首都ハノイのクックオアイ区・サイソン村にあり、こちらも17世紀の初めごろに建設されました。「タイ」という名前の由来は、ベトナム語で「先生」を意味する単語の「タイ」から来ています。

この寺にはむかし、一所懸命、仏教の経典を勉強していた修道士がいて、先生(タイ)と呼ばれ、この寺の神様としてまつられています。伝説では、このタイは病気を治すお医者さまでもあったそうです。また、水上人形劇も発案したともいわれていて、それが現在まで伝承され、今では水上人形劇はベトナムの伝統芸能となっています。

タイ寺は歴史が古く、たいへん貴重な木材と屋根瓦から作られた、貴重な歴史的建造物でもあります。建立から何百年を経てもとても丈夫で、とても神秘的です。
 

神秘的なたたずまいのタイ寺
 

 
ベトナムでは歴史が長い寺はこのように、ほとんど山の中に作られています。それはむかし、修道士たちが世間を離れ、人里から遠い所で仏教の経典などの勉強をしていたからです。

ベトナムには「心に仏教があれば、平安になる」ということわざがあり、ベトナム人にとってお寺はとても重要な意味をもちます。また、それぞれのお寺にもそれぞれとてもおもしろい歴史があり、社寺の伝来や伝説もとても神秘的です。ベトナムを訪れたさいには、ぜひ足を運んで参拝し、ベトナムのお寺の雰囲気を味わってみてください。