豊かな自然と人のやさしさ 鳥取の旅~美しき色 驚きと発見、非日常の絶景 鳥取砂丘(鳥取市)

鳥取県の魅力は一つの季節だけでは語りきれない。景勝地として知られる鳥取砂丘は季節だけでなく、訪れる時刻によってもその美しさを変えた。観光客が少なくなった夕暮れ、砂丘に沈みゆく太陽は美しく、壮大なパノラマで時間がたつのを教えてくれる。翌朝、風は砂の表面から人々の足跡を消していた。美しい風紋を確認しながら歩く。手つかずの砂丘に、足跡を残すことを少し躊躇った。雄大な景色の中、風は清々しかった。

鳥取砂丘の魅力について、自然公園財団鳥取支部BESスタッフ(ジオガイド)の中川樹菜さんに伺った。
「鳥取砂丘の魅力について鳥取砂丘の魅力は、なんといっても『ここにしかない砂の風景』です。季節や時間を変えてさまざまな表情を見せる砂丘の姿は、人々を決して飽きさせません。また風が作り出す砂の芸術作品の美しさは絶品です」。そして「どれを取ってみても自然、地球のパワーを感じることができます。砂丘を訪れた人々は知らず知らずのうちに、鳥取砂丘の非日常的な世界に心を奪われるのではないでしょうか」。

 

様々な表情を見せる砂丘は時間を気にせず、ゆったりと観賞したくなる。一方で時間がなくても、「ここは欠かせない」というポイントは知りたい。

数ある鳥取砂丘の見どころの中からおすすめのスポット4カ所を、砂丘を熟知しているジオガイドの林田房雄さんに挙げていただいた。

①馬の背(第二砂丘列)
   馬の背の頂上は海抜47m、その起伏の大きさは日本最大級。
  登るにはひと苦労だが、到達した先には達成感と、日本海そして砂丘全体を見渡せる自然の大展望台からの素晴らしい景色がある。

②追後スリバチ
  砂丘地本来の地形「スリバチ」が体感できる鳥取砂丘の代表的スポット。海側から吹く風がうずを巻いてできた地形で、最大高低差はなんと約20m。

③火山灰露出地
  鳥取砂丘の10万年の歴史や生い立ちを知ることができるスポット。またこの周辺では縄文~古墳時代の、土器や石器も発見されている。

④オアシス
      夏季には水が干上がり、姿を消すオアシス。枯渇期があるにも関わらず、どうしてか初夏には毎年カエルが出没する。
  海抜20m付近にあるオアシスは海水ではなく、雨水や融雪水でできている。

 

さらに、厳しい暑さが続く夏の砂丘見学の注意について、見学の際の注意点やコツを再び、中川さんにお聞きした。

馬の背は真正面からではなく、右側から
  階段を上ると真正面に馬の背が見えます。そのまま真正面から馬の背を登るのは「ゼーゼーハーハー 体力コース」です。馬の背は両側の傾斜の方がなだらかですので、そちらから登るほうが圧倒的に楽なのです。

砂丘用車イスの無料レンタルあります
  「入口の階段を登るのもしんどいから、砂丘は行かずにここで待っているよ」そんな風に言われるご高齢の方は少なくありません。そんな時には、砂丘用車イスです!階段の横に木製のスロープがありますので、そこから砂丘へ入ることができます。4台ご用意しております。前もっての予約が可能です。

ヤケド、熱中症には要注意
  夏には砂の表面温度が60度を超えることもある鳥取砂丘。
  ヤケド防止のため、散策にはスニーカーをオススメします。(サンダルの貸出も夏季はありません)
  そして熱中症対策として帽子やタオル、そして飲み物は必須です。
  風が吹いているので涼しくは感じますがこまめな水分補給はセンターでも注意喚起をしております。

無理をせずに、楽しくこの絶景を見学したい。

砂丘を見学する際にはぜひ、「砂丘入口階段」のすぐ近くにある「鳥取砂丘ジオパークセンター」(開館時間午前9時~午後5時、入館は午後4時半まで。入館無料)を訪問されることを強くお勧めしたい。砂丘見学が何倍も楽しくなるはずだ。

 

※大勢の観光客が訪れる鳥取砂丘は、海岸砂丘としては日本一の起伏を誇り、その中心部は独特の地形や起伏、固有の砂丘植物など貴重な自然を有している。昭和30年(1955年)に国の天然記念物、昭和38年(1963年)に山陰海岸国立公園の特別保護地区に指定された。鳥取県は、この至宝を人々とともに大切に守り、優れた自然環境を確実に次世代へと引き継いでいくため、『日本一の鳥取砂丘を守り育てる条例』を制定している。

「美しい鳥取砂丘となるように、皆さんのご協力をお願いいたします」。ルールを守って、砂丘の雄大な景観をお楽しみください、と呼び掛けている。
◇「日本一の鳥取砂丘を守り育てる条例」で禁止されている行為
砂上での落書き
ゴルフの打ち放しや花火の発射等
ゴミ(タバコの吸いがら等)のポイ捨て
動物のふんの投棄
砂丘海浜での遊泳
など、鳥取砂丘で安全・安心に過ごすための規定が設けられている。

◇「自然公園法」で許可が必要、又は禁止されている主な行為
テントなどの仮設工作物の設置
看板やのぼりなどの広告物の掲出や設置
砂丘内の砂の持ち帰り
車両等の乗り入れ
拡声器等による著しい騒音の発生

問い合わせ先
鳥取県砂丘事務所(0857-22-0581)
環境省浦富自然保護官事務所(0857-73-1146)