チャン・ティエンアイスクリーム(Kem Tràng Tiền=ケム・チャン・ティエン)は1958年から販売されているハノイの夏の風物詩です。おいしさが市民に愛されているだけではなく、今ではハノイを象徴する食べ物で、ハノイで育った人にとっては懐かしい思い出の味の一つです。(VNLハノイ)

ケムとは、ベトナム語でアイスクリームのこと。ベトナム人は冷たいおやつが大好きですが、なかでもケム・チャン・ティエンといえば、もうハノイの名物の一つです。地元の人も行きますが、地方から出てきた観光客も必ず、ブランド名になっているチャン・ティエン通り35 番地(ホアンキエム区)の本店を訪れます。

ここに来ると、お店の人たちはいつも大忙しです。特に、暑い夏には、長い行列ができます。チャン・ティエンアイスクリームは素朴な味ですが、一度食べた人はずっとその味を忘れられません。派手な色や多様な形でもなく、味だけでお客さんたちを満足させるのです。ココナッツ、チョコレート、ミルク、緑豆などの味がありますが、一番人気なのはミルクとココナッツだそうです。


右上から時計周りに、緑豆、ミルク、チョコレート、ココナッツのフレーバーが並ぶ。


コロンとした形がかわいい、コーン入りタイプも人気。

コーン入りタイプのアイスクリームは、甘さがちょうど良くて、サクサクしてとてもおいしいです。夏に食べるおやつとしては最高です。

この店のアイスクリームは、1個7000~8000ドンほど。おいしいのに値段が安いことも人気の理由のひとつです。

チャン・ティエン株式会社によると、アイスクリームは緑豆の粉、ビナミルクの練乳、ココアなど、ベトナム人になじみの深い食材にこだわり、伝統的な味を生かした材料で生産されています。また、作り方も保存料などを使わない伝統の製法なので、賞味期限が短いのだそうです。

子どもたちはもちろん、学生や若者、年配の人たちもみんな、チャン・ティエンアイスクリームが好きです。ちゃんとした椅子やテーブルがなくても、お客さんたちはアイスクリームを買うと、バイクに座ったりして、お店の前で友だちとおしゃべりをしながら味わいます。

お店を訪れたレー・ツゥ・ハンさん(26歳)に「どうしてチャン・ティンアイスクリームが好きなのですか?」と尋ねてみました。

「安くておいしいから。それに、食べるたびに、幼いころを思い出すから。昔、学校で良い点数をもらうと、親がチャン・ティエンアイスクリームに連れてきてくれたんだよ。それがとても楽しみだった」と思い出を話してくれました。

 

こんな風に、みんなに愛されているチャン・ティエンアイスクリーム。ハノイに来たときには、ぜひお店を探して、食べてみてくださいね。