日本にもお餅がありますが、ベトナムのお餅にも色々な種類があります。ハノイでは、おやつとして食べる伝統的な甘いお餅が人気です。カラフルで、ベトナム独特の材料を使っているので、外国人観光客のおみやげとしても喜ばれそうです。(VNLハノイ)

このお餅を作っている店を訪ねてきました。お店の名前はザ・チン(Gia Trịnh)といい、ハノイのホアンキエム区 Lý Nam Đế通りにあります。ここの名物のベトナム風のお餅は、ベトナム語でBánh cổ truyền (バイン・コ・チュイェン)といい、「伝統のお餅」という意味です。

オーナーのファン・ティ・ホン・ハさん=写真=にお会いして、色々な話を聞かせてもらいました。

ハさんはハノイで生まれて、ずっとハノイに住んでいます。ご家族は昔からベトナム風のお餅が好きで家族や友人で食べるために作っていました。ハさんの作るベトナム風のお餅が周囲にも好評だったため、店舗を設立したのがちょうど10年前だそうです。

一家は家族で小さな工場を運営していますが、ベトナム風のお餅は、準備から完成まで、作るのに約8時間もかかるそうです。ハさんたちの工場では、手間をかけて、自然の材料を使い、さまざまな種類のお餅を1日に計約5000~6000個ほど生産しています。

ベースとなるお餅の主な材料はもち米です。これに緑豆やココナッツなどの材料を入れて、混ぜてから蒸します。中にあんが入っているものもあります。

それぞれの季節で違う材料を使っているのも特徴です。ベースは同じもち米の生地ですが、例えば春にはガック(Gac=ナンバンカラスウリ)という赤い果実やクック(Khuc)の葉、マン・コン(Manh cong)の葉などを混ぜ込んだお餅を作ります。

夏にはマー(rau má)という野菜や、ザン・ザン(giành giành)の種などを使いますが、これらは体を冷やす効果があるので、暑い天候のときに食べるということです。秋はジャングルフルーツのシーズンで、冬は大根やお茶の葉を使うことが多いそうです。

餅の色は、赤はガックの果実、黒はガイという葉っぱ、白はココナッツ、緑はお茶の葉などで色づけされています。とてもきれいで鮮やかですが、ハさんの店ではすべて自然の材料を使っているので、体に悪い色素や添加物などが入っていません。お餅は柔らかくて、ほんのりした甘さに作られているので、とても食べやすいです。いろんな味を試せば、ハノイの四季が感じられますよ。

生ものなので、賞味期限は二日間だけなのですが、おみやげにもおすすめです。ギフト用には、箱を用意してくれます。お餅は種類を問わず1個4000ドンです。