豪華客船「飛鳥Ⅱ」で、ホテル日航大阪、井口総料理長の特別ディナー ベトナム産「燕の巣」のスープも

最高の船旅を提供する日本最大の客船「飛鳥Ⅱ」で、今年、開業三十五周年を迎える「ホテル日航大阪」の井口正彦総料理長による特別ディナーが披露された。ベトナムの伝統的な食材、燕の巣を使ったスープなど、井口総料理長の創意が盛り込まれた料理の数々は、乗船客を魅了していた。

井口総料理長は、東京から秋田、富山、山口、大分、大阪、横浜を巡る最長十一日間の「新緑満喫クルーズ」のうち、伏木(富山)-大阪間で計三回、料理(昼食2回、ディナー1回)を担当。昼食のエビチリと飲茶、中華風カレーも好評だった。


好評だった「中華風カレー」。桃李特製「豆板醬」で、味の変化も楽しめた

大阪寄港時の特別ディナーは、六品とデザートで構成。一品目は、フカヒレと海草を黒酢で合わせた新しい組み合わせの「ふかひれと海草のアミューズ」。続く「桃李特製冷菜盛り合わせ」は、くらげ、蒸し鶏、野菜の甘酢、ピータン、スモーク牛タン、帆立を小鉢に見事に配した。

三品目がベトナム伝統の高級食材である燕の巣を贅沢に使った「燕の巣入り蒸し煮トップスープ仕立て」。燕の巣をシンプルながら絶品な澄ましスープで味わえた。

豆腐と海老のすり身の蒸し焼きを海の幸の餡かけで頂く「琵琶型豆腐の海の幸入り餡かけ」は、上質なうま味を熱さが一層引き出した。最高の料理が味わえる飛鳥Ⅱの「フォーシーズン・ダイニングルーム」は、何百人もの乗客がゆったりとディナーを楽しむことができる十分な広さを持つ。この優雅なダイニングルームで、熱々の料理が楽しめるのは、井口総料理長の技術、優秀なキッチンスタッフ、サービスを担当したクルーたちの情熱のおかげだろう。

「豚肉の醤油煮込み(東坡肉)」は開業以来、多くのグルメに愛されている広東料理の名店「桃李」伝統の一品、まさに井口総料理長の味。紅芋入りの蒸しパンが添えられた。特別にソースも用意され、味の変化が楽しめた。締めくくりは、もち米と栗を蓮の葉で包み蒸し上げた「栗おこわ 蓮の葉包み」。おいしさと蓮の香りが心に残った。

デザートはマンゴーケーキ、杏仁プリン、ココナッツ団子の3種、贅沢なおいしさ。

――今回の特別ディナーについて感想を伺います。

飛鳥Ⅱでのディナーはワクワクするような体験でした。お年を召した方もいらっしゃるので、『重くない中国料理』を心がけました。アミューズはお酢を使ってさっぱりと召し上がっていただき、オードブルも軽さを感じていただけるように仕上げました。『飛鳥Ⅱの最高のお客様に最高のものを』という思いから上質な燕の巣のスープをお出しし、豆腐の海の幸入り餡かけでは軽さとともに、しっかりと焼き上げ、『香ばしさ』を感じて頂けるようにしました。コラーゲンを摂っていただけるメニューを三つご用意しましたが、メインディッシュの東坡肉(トンポーロー)はコラーゲンとともに、『軽さ』も大切にし、油抜きした上でお出ししました。さらに飛鳥Ⅱのための『飛鳥醤(じゃん)』を作り、食べ進んだ後、もう一度楽しんでいただけるようにしました。そしておこわで締めさせていただきました。

――飛鳥Ⅱのキッチンと桃李のキッチンでは、勝手が違ったのではないですか

客船のキッチンでは、いつもの厨房とは違う調理法が必要です。『置き換えること』を考えなければなりませんでしたが、(飛鳥Ⅱは)お客様も最高ですが、調理スタッフの皆さんも最高。スタッフの動きの良さ、連携の素晴らしさ…。『お客様にしっかりしたもの(料理)をお出しできた』と思っていますが、それは、飛鳥Ⅱのスタッフの皆さんのおかげです。飛鳥Ⅱは最強ですが、スタッフも最強ですね。