客船「飛鳥Ⅱ」の魅力 最高の料理 「重視するのはバランスとやさしさ」-西口総料理長に聞く 後編

日本が世界に誇る郵船クルーズ(本社・横浜市)の豪華客船「飛鳥Ⅱ」。天候にたじろぐことなく、目的地に向かって安全かつ快適に進むその姿はタフそのもの、抜群の安心感だ。洗練された美しい船内は、客室をはじめ、どこも清潔感にあふれている。乗組員の方々のサービスは自然で、真心がこもっていた。

「飛鳥Ⅱ」の西口雅浩総料理長にお話しを伺った。

――飛鳥Ⅱのクルーズの予定を拝見しますと、クルーズの終了日が次のクルーズの出発日になっている場合があります。楽しいクルーズを終えた乗客のみなさんが下船する、その一方で、クルーズを楽しもうという新たな乗客が訪れる、ということですね。

そうですね。年間のスケジュールは決まっています。ただ、飛鳥Ⅱの船旅を気に入って頂き、乗り継いで頂く方も何人もいらっしゃいます。クルーズでは毎回違った、さまざまな地方を訪れます。旅行をしながら飛鳥Ⅱでゆったりと船旅を楽しんでいらっしゃいますね。

――470人あまりの乗組員の方々の勤務については以前、伺いました。4カ月勤務し2カ月休まれるということでした。

乗組員(の勤務)は基本、そうですね。

――総料理長は、お休みを取れるのでしょうか。
お休みは頂いています。ただ、次に乗船した時のメニューを作らなければいけない部分があります。休暇中は、色々な資料集めなどをしております。

飛鳥Ⅱは来年3月、世界一周クルーズに出航する。期間は7月までの102日間。初代「飛鳥」と「飛鳥Ⅱ」による世界一周クルーズは1996年から通算22回目、2015年以来の実施だ。発表されたスケジュールでは、2018年3月25日に横浜を出航し、アジア、スエズ運河、地中海・ヨーロッパ、大西洋、北米、パナマ運河、太平洋と102日間で北半球をめぐる。初めての寄港地としてチビタベッキア(イタリア)、バレンシア(スペイン)、ジブラルタル(イギリス領)、ビルバオ(スペイン)、ハンブルク(ドイツ)、ハリファックス(カナダ)、セントジョン(カナダ)、ボルチモア(アメリカ)の8港が新たに加わった。

――102日間のクルーズでは朝食、昼食、夕食を各100回提供されます。これはとても難しいことのように思いますが…。

「同じディナーはお出ししない」というのが、わたくしどものポリシーです。ディナーでは同じメニューはお出ししません。3カ月のクルーズの間に、お客様の嗜好、お好みのものも段々と分かってまいりますので、それに沿ったメニューも色々、考えたいと思っております。

――100回分のディナーのメニューは事前に決めていらっしゃるのでは、と思いますが、お客様の嗜好や好みを分析することで、メニューが変化することはあるのでしょうか。

そうですね。基本的なことは前もって、メニューを組み立てますが、それ以外のところは、柔軟な「あそび」の部分を持っていまして、お客様のご要望に対しても、「かなえられる部分はおこたえできれば」と考えます。もちろん、すべてではないのですが…。

――長期間のクルーズでは、乗客の皆さんの健康管理が大切です。世界一周クルーズではまさに健康維持に役立つお料理が重要ですね。

ワールドクルーズでは約60パーセント、和食のメニューを組んでおります。海外に行かれ、寄港地でお食事をされることも多くなると思います。また、観光でお疲れになる時もあるでしょう。そんな時は、なるべく和食をお出しするようにします。飛鳥Ⅱに帰って来た時にほっとしていただけるような料理をご提供できるようにバランスを考えております。

海外の国々を巡るクルーズで、和食をご提供できることは、日本船としてお客様に一番贅沢なサービスではないかな、と思っております。

【飛鳥Ⅱの概要】(ASUKA CRUISEのHPから)
船籍/日本
全長・全幅/241m×29.6m
総トン数/50,142GT
喫水/7.8m
航海速力 最高21ノット
横揺れ防止装置/フィンスタビライザー
乗客数/872名
乗組員数 約470名
販売客室数/436室(全室海側)
ベランダ付き客室比率/60%
船籍港/横浜