「心」をテーマに、日本語とベトナム語でスピーチ=大阪大学で第2回日越弁論大会

日本語とベトナム語による弁論大会「第2回日越弁論大会」(在大阪ベトナム青年学生協会VYSA-OSAKA、大阪大学大学院言語文化研究科、同大外国語学部主催)が7月9日、大阪大学豊中キャンパスで開催され、それぞれの言語を学ぶ計16人が熱弁をふるった。

この日越弁論大会は、2015年に続く2回目の開催。日本在住ベトナム人が対象の日本語部門とベトナム語部門が設けられ、ベトナム語部門は、ベトナム語専攻者と非専攻者に分かれて弁論を競った。今回は、VYSA-OSAKAと大阪大学大学院言語文化研究科、同大外国語学部との共同主催となり、加えて、趣旨に賛同した千房やベトナムニュースライナーなどがスポンサーとして大会を支えた。

VYSA-OSAKAのブイ・ツイ・ヴィ会長は「今年2月から準備を始め、会場選定やルール作り、スポンサー探しなど大変なこともありましたが、何とか今日を迎えられました。最近では日本に来るベトナム人が増えるとともに、ベトナム語を学ぶ日本人もまた増えています。こうして一生懸命言語を学ぶ姿を見てもらうことで、頑張って学ぶ人を増やしていきたい。この弁論大会を通して、日越交流が一層深まることを願います」と語った。

日本語、ベトナム語ともに、スピーチのテーマは「心」。日本語部門ではベトナム人8人が発表し、コンビニのアルバイトで出会った日本人との温かい交流を題材にしたり、日本語の歌とともに日本語学校の先生への感謝の気持ちを伝えたりした。中には、日本の現状について「人間関係や家族の絆が希薄になっている」と指摘する鋭いスピーチもあった。みな流暢な日本語とともに、身振り手振りを交えながら、表現力豊かに訴えかけた。

ベトナム語部門は、ベトナム語専攻者と非専攻者がそれぞれ4人ずつ登壇。ベトナム留学中のエピソードを語った学生や、ベトナム語で詩吟を詠んだ出場者もいた。また、ベトナムで生まれて日本で暮らす小学生は、学校でベトナムについて友達に話すことで、友情を深めていった体験談を語った。

このほか特別ゲストとして、ベトナム人の父を持ち、ベトナムで生まれた後にラオスへ移住し、5歳の時に日本に来た小学4年生、島本亘君も日本語でスピーチし、来場者から大きな拍手が送られた。また、日本で活動するベトナム人歌手のハイ・チュウさんは、母の子供への思いをつづった「母の日記」を、日本語とベトナム語で歌い上げ、会場を沸かせた。

最後に、審査員を務めた大阪大学大学院言語文化研究科の清水政明教授が挨拶。「大会では心をテーマに選んだが、心と言えばみなさん様々なことを思い浮かべると思う。家族や大切な人への思い、仕事への情熱を思い浮かべる人もいるだろうが、今回、私たちは子どもの親への思いに注目した。第1言語がベトナム語か日本語のどちらかという子どもたちが、生まれたときにお母さんが話しかけてくれた言葉で、両親への思いを伝えられる機会を持ちたいと思っていた。それが島本君をお呼びした理由だ」と話し、「これからも日越弁論大会をずっと続けられるよう取り組んでいきたい」と結んだ。



第2回日越弁論大会の入賞者、参加者は次の通り(敬称略)

日本語部門

最優秀賞 Trần Ngọc Nam
(チャン・ゴック・ナム)
岡山県、吉備国際大学
優秀賞 Hoàng Ngọc Bích Trân
(ホアン・ゴック・ビック・チャン)
岡山県
特別賞 Đoàn Ngọc Minh Trân
(ドアン・ゴック・ミン・チャン)
山口県、徳山大学
  Đỗ Phi Trường
(ドー・フィー・チュオン)
大阪府、京都情報大学院大学
  Cao Tấn Thành
(カオ・タン・タイン)
大阪府、 ヒューマンアカデミー日本語学校
 

Nguyễn Duy Quang
(グエン・ズイ・クアン)

大分県
 

Lê Thị Mỹ Trinh
(レー・ティ・ミー・チン)

京都市、京都教育大学
 

Nguyễn Thị Hồng Trâm
(グエン・ティ・ホン・チャム)

埼玉県、東京国際大学


ベトナム語部門(専攻)

最優秀賞 森本 大聖 大阪大学2年
優秀賞 林 貴哉 大阪大学大学院博士課程前期2年
特別賞 藤川 遥太 大阪大学
  丸谷 一真 京都外国語専門学校


ベトナム語部門(非専攻)

最優秀賞 古屋 賀子 京都市、 ベトナムミストクラブ
優秀賞 鵜飼 修 大阪
 特別賞 Vũ Ngọc Trâm(ヴー・ゴック・チャム) 大阪府、小学校5年生
   森 啓治郎  大阪合同社労士事務所