グエン・タン・ズン首相の国連総会演説 「人類には戦争と貧困のない世界が必要」《第1回》

 

ベトナムのグエン・タン・ズン首相は27日(ニューヨーク現地時間)、国連総会一般討論で演説した。演説のテーマは「人類には戦争と貧困のない世界が必要」。News Linerは演説文書のご提供を受けました。提供して下さった方々のご厚意に感謝申し上げるともに、読者の皆様に演説の詳細をお伝えします。

国連総会議長殿、
国連事務総長殿、
ご列席の皆様、
国連総会で演説させて頂き、大変、光栄に思っています。ジョン・ウィリアム・アシュー(John William Ashe)議長が第68回国連総会の議長に選出されたことをお祝い申し上げます。議長のご活躍で、この国連総会で2015年以降の開発目標(ポスト2015年開発目標)の策定に成功することを信じております。また、国連事務総長のこれまでの国連への貴重な貢献に敬意を表します。

ご列席の皆様、
過去100年を振り返ると、世界は良い変化を遂げました。科学技術の進歩で、世界はフラットになり、小さく感じられるようになりました。われわれ人類の生活も、より良いものになりました。いくつかの素晴らしい事柄の一方で、潜在的な危険も依然として残っています。安全・平和・繁栄という人類の夢の実現は、まだ先の事と言えます。

人類は平和を渇望していますが、どうしてまだ戦争・衝突が起きるのでしょうか。経済が発展しているにも関わらず、どうして何十億の人々が貧困状態にあるのでしょうか。科学技術は飛躍的に進歩していますが、災害や疫病への対応は十分に有効だとは言えないのではないでしょうか。これらの質問は、(解決することは)とても光栄なことだが、とても重い責任を、われわれ国際社会に課しています。

ご列席の皆様、
人類の歴史の上で、戦争は多くの文明社会を滅ぼしてきました。この100年の間、二度の世界大戦がありました。また、ベトナムでの戦争を含めて局所的な戦争が多くあり、数億人の命を奪いました。深刻な後遺症は長期間にわたり、次の世代へも及びます。

おそらく、皆様も(わたしと)同じ意見だと思います。平和・協力・発展は現状における主導的な情勢です。しかし、戦争の危険はまだ排除できません。中東や北アフリカ、そして最近ではシリアで暴力が残されています。シリアでの化学兵器の使用は強く非難されることですが、国連の議決や国際法の下で、その化学兵器を平和的手段で全廃すべきです。朝鮮半島でも憂慮すべき事態が残されています。

東シナ海、東海(南シナ海)では領土問題で、まだ“強い波”が残っています。一つの無責任な行動であっても、衝突や最悪の場合、戦争を起こさせる可能性もあります。

全世界の物流の半分以上が往来する東海(南シナ海)において、航海の安全はこの地域だけの問題ではなく、全世界にとって重要なことです。ベトナムは終始一貫して平和的な手段による解決を主張してきました。国際法や海洋法に関する国連条約、DOCなどによる解決です。自国の利益だけでなく、地域と世界の利益を考慮しています。「行動規範(COC)」の早期策定が必要です。

(第2回へつづく)