グエン・タン・ズン首相の国連総会演説 「人類には戦争と貧困のない世界が必要」《第2回》

 

グエン・タン・ズン首相が国連総会一般討論で行った「人類には戦争と貧困のない世界が必要」の演説について、詳細をお伝えしています。

ご列席の皆様、
「全ての人は平等に作られている。創造主によって、侵害されることのない権利を与えられている。すべての権利の中には、生存の権利、自由の権利、そして幸福を追求する権利が含まれている」。人の命はどのような肌の色であっても同じです。命が奪われれば、たとえそれがマンハッタンであろうと、遠い辺境の地であろうと、その人の家族にとっては大きな悲しみです。

どのような好戦的行動も非難されるべきであり、阻止されなくてはなりません。衝突防止の努力は尊重され、支持されるべきです。平和のシグナルがたとえ小さくても、我々は戦争が起こらないように努力をしなければなりません。戦争は一人の命だけでなく、多くの命を奪います。多くの命の中には、女性や子供の命も含まれているのです。

衝突、戦争を防止することは、国連憲章に反する事、国際法に反する行動、強権的な政治目的の行動を排除することです。各国がお互いの独立を尊重し、主権や伝統的な文化、道徳を尊重し、強制を行わなければ、平和を守り維持することが出来ます。国連、国連安全保障理事会はその役割を発揮するでしょう。その上に大切なのは各国の戦略的な信頼性です。戦略的信頼性は心の真実、誠実な態度、さらに具体的な行動によって育まれます。具体的な例として、キューバに対する制裁の解除、パレスチナの自己決定の承認などです。

われわれ国際社会において、強国各国は「平和建設のお手本」になると期待されています。国連安全保障理事会は、各国と民族が一緒に平和を維持するための原動力であり、重要な支点です。戦争、テロ、暴力などはあちこちに存在し、数千、数万、数億もの「罪のない命」を奪う恐れがあります。こうしたことを無視しないでください。そして、その悪辣な手を止めてください。

ご列席の皆様、
私は事務総長のお考えを支持します。ミレニアム開発目標(MDGs)は、歴史上で一番成功した貧困防止の努力だったと思います。しかし、世界の40%の資産は、世界の1%未満の人々に握られていることを忘れてはいけません。貧富の格差は拡がっています。10億人を超える人々が貧困状態にあります。すなわち、数億人の人々は食料が足りず、お腹を空かしています。その中には温かい衣類もなく、薬も足りない、学校に行くこともできない子供たちが多いのです。

わたしたちは、排気ガス、森林破壊、天然資源の枯渇が地球温暖化、海面の上昇、激化する自然災害、疫病の横行の原因となり、貧しい国をもっと困難な状態にさせることを忘れてはいけません。

貧困の脱出、自然災害の防止、疫病の防止と環境保全、地球規模での緑化と社会公平を実現するためには、私たち全員の協力が必要です。貧しい国は自分たちで努力することはもちろんですが、豊かな国の支援を受けながら一緒に、取り組むことが必要です。

われわれ国際社会は人道上の責任として、平和の保護と協力の継続、貧困の撲滅のため、2015年以降の開発目標(ポスト2015年開発目標)の策定に努力します。「一人はみんなのため、みんなは一人のため」の精神で、直面する困難をともに乗り越えましょう。

(第3回へつづく)