生活に溶け込むベトナムの仏教 心の平安求め寺院などで礼拝

統計でみると、ベトナム人の宗教を尋ねると、73.2%は無宗教で、仏教徒は12.2%に過ぎないという。だが、ハノイ市内にはあちこちに寺院があり、寺に参拝する人は統計以上に多い。寺院を訪れたり、仏教伝来の精進(ベジタリアン)料理を食べたりすることは、ベトナム人にとって日常生活や文化習慣の一部となっているのだ。(VNLハノイ)

ベトナム人が多く寺に参拝するのは、旧暦の1日と15日だ。これらの日には、おおぜいの人が寺を訪れ、心の平安や、健康、繁栄などを祈る。「結婚できますように」「子どもを授かりますように」などと願い事を祈願したりもする。これらは、人々の精神的なよりどころであり、習慣として根付いている。

特に旧暦4月15日(今年は西暦5月29日)は、仏さまが生まれたとされる「仏誕祭」で、各地の寺で祭りが行われた。

ハノイ市のホアンキエム区チャン・フン・ダオのクアン・スー通り73番地にあるクアン・スー寺(Chua Quan Su)は、地元の人日に親しまれている寺であると同時に、ベトナムの仏教寺院の総本山でもある。同寺では仏誕祭に、何万本もの生花や拝げ物が祭壇にきれいに飾られ、多くの市民が参拝した。

クアン・スー寺の境内には何万本もの生花や礼拝物が飾られた。

社会が発展していくなかでも、人々は心の平安や穏やかさなどを求める傾向にある。「良い行いをすると、自分にも良いことが起こる」とする仏教の考え方は、ベトナムの人々の心のうちに浸透しているようだ。

最近では、仏教に由来する精進料理(ベジタリアン料理)の店も増えて、にぎわっている。寺院の中には、ベジタリアン料理が食べられるところも多い。


おおぜいの人々でにぎわうベジタリアン料理店

寺を訪れるだけでなく、富裕層などは、自分で寺を建設することもある。また、自宅に仏さまをまつる礼拝堂などを建てる人が増えているのも、最近の傾向のようだ。

ある民間企業の社長が、先祖や仏さまをまつるために建てた寺(写真㊦、ハノイ市内