がんばれ受験生 News Linerオリジナル 清風中学校・高等学校 平岡宏一校長インタビュー「冬休みの過ごし方」②

 

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Liner(ニュース ライナー)が毎週、お届けしておりますラジオ大阪(OBC 1314kHz)の情報番組「朝かつ」(日曜午前7時20分スタート)。番組に登場して頂いたゲストの皆様のお話を掲載します。

今回は引き続き、清風中学校・高等学校 校長 平岡宏一先生に、「清風中学校・高等学校の教育方針」についてお話を伺いました。

 

――前回は志望校を下げちゃいけない、頑張らないといけない、受験生の人たちにとって、今から3週間は、ものすごく力が発揮できる期間だということお伺いしました。今日は御校の教育方針についてお伺いしたいと思っております。

私たちの学校は、仏教を中心とした宗教教育を行っていますので、毎朝、生徒と一緒に般若心経をあげています。般若心経の最初のセンテンス、「行深般若波羅蜜多」は「深般若波羅蜜多を行ずる時」ということなのですが、校祖平岡宕峯は、「核心に触れるまで努力する」という意味だと言いました。これは、非常に時代にマッチした大切なメッセージだというふうに考えています。というのは、私は子供たちの面談もさせて頂いていますが、残念ながら子供たちは、やはり、最小の努力で最大の成果というふうに思っています。努力を嫌がり、効率的にやりたい、と。「地道に努力するのはアホや」みたいな、そういうところがあります。けれど、やっぱりそうじゃない、ということを学んでいかなきゃいけないと思いますね。IBMの役員だった伊藤久美さんから聞いたのですが、今やイノベーションは最長寿命が2年半、どんなイノベーションでも2年半しか寿命がない、そういう時代だそうです。そうすると、状況がどんどん変わる中で、心を折らないで、与えられた範囲内でベストを尽くす習慣をきっちり身に着けておくかどうかということが、これからの時代、生き残っていく上で、すごく大きなポイントになるのではないか、と思っております。

――地道な努力をするってことですね。

それは大切ですね。でも、小さな努力で大きな成果と思っているんですよ。けれど本当はね、勉強でもクラブでも、すでにそんなことは、あまりないことだということを経験上知っているのです。ですが、そういう妄想を抱いているのですね。純粋に努力するやつは馬鹿だと思っているけれど、実際は経験上そうと分かっている。ましてや生涯に渡ってそういうことが続くということがありえないということは、本当はちょっと考えたら分かるはずです。それよりも与えられた環境の中、激しい変化の中でベストを尽くしていくこと、そういうことが大切だと思っています。
最近、キャリア教育ということが言われていますが、難関大学に行った人でさえも約3分の1は職業を変えてしまうと言われています。

――かつては終身雇用でしたが、今はそうではないですもんね。

多様な変化の中でも心を折らずにやっていくということ。それこそ核心に触れるまで努力するというか、努力を大切にするということ。それを徹底させることが、むしろキャリア教育だと思っています。自分に向いた職業体験をやって、そのことに対して憧れを抱くということも大切なキャリア教育だと思いますが、これだけ激しい変化の中で、与えられた条件、変わってきた新たな条件に対しても、またちゃんとその中でベストを尽くす、そういうことが尊いことだということを分かっておくこと、そういうことを自分で心がけていくこと、それこそがこれからのキャリア教育ではないか、と私は思っています。

――それが御校の宗教教育の「核心に触れるまで努力する」である、と。

そうですね、そういう意味で時代にマッチした考え方ではないかな、と思っています。

――確かに先生がおっしゃるように、自分の意思とは関係ない状況でこういったポジションとか、こういった仕事を強いられることってありますよね。そこで折れてしまったり、もうだめだと思ってしまったりするのではなくて、そこでもう一回自分の置かれているポジション、あるいはその境遇の中で精一杯努力するというのは大切なことですよね。

そうですね、先ほども言いましたがイノベーションがこれだけ激しかったら、自分でつかんだ成功のパターンが、ずっと使えるかどうか分からないですよね。生涯に3つか4つ成功のパターンをつかんで、それで通用するという時代ではない可能性がありますね。そういう意味で、受験もそうなのですが、とにかく目標を持ってそれに向かって、自分で勝手に妥協しないで、勝手に諦めないで、最後まで努力をやりきることが非常に大切だと思います。

――力を持つということは、受験だけでなく、人生そのものを力強く行くっていう感じがしますね。

だからキャリア教育だと思うのです。そういう意味で受験勉強でさえ、キャリア教育になると思います。今も言いましたように、たゆまぬ努力が尊い。以前、夏休みのお話をさせて頂きましたが、勉強の基礎力になっているのは努力と根気と集中力。これを身につける過程が受験勉強。ですから、高い目標を持って、そこに行けたらベストですが、極端な話、行けなくてもいいのです。最後までベストを尽くせるかどうか、そういうことが尊いということを理解して、ちゃんとやれるかどうか。それが大切ですね。

――自分が置かれている境遇において、あるいは自分の目標において、最後まで最善の努力を続けていくという、前の夏休みの時のお話を思い出しました。受験勉強で根気と努力と集中力を養う、これを養うことが受験勉強なんだ、そういう意味において、受験勉強に失敗はない、こういうふうに校長先生におっしゃって頂きました。僕も高校生の子供がいますので、そういう意味で言うと、失敗なんてない、と言って頂けると、ものすごく助かったような、気持ちが楽になったような、そんな気がしました。

私たちの学校は、そういうテーマでもって、生徒に接していこうと思っています。

――清風中学校とか高等学校に入りたいという人がたくさん今聞いてらっしゃる中にもいらっしゃると思います。先ほど先生がおっしゃったように目標を達成できるかどうかは別問題として、清風中学校・高等学校に行きたいという方が、やはりそういった学校で努力をしたいという強い気持ちを持つことが御校を志望するうえで最短の道かなと思ったりもしています。本日は、貴重なお話をありがとうございました。