ベトナム人のテトの過ごし方

ベトナムは旧暦のお正月(ベトナム語でテト)を迎え、新しい年が始まりました。今年はベトナム式の干支ではブタ年で、とても良い年になるとされています。今日は、ベトナム人のテトの過ごし方と新春の風習を紹介します。(VNLハノイ)

ベトナム人のテトには、バインチュンという食べ物が欠かせません。これは、緑豆と豚肉をコショウなどで味付けした具材をもち米で包み、ラーゾンの葉でくるんで、10時間ほど煮た伝統料理です。

各家庭では、家に祭壇を設けてさまざまな飾り付けをします。北部と中部では桃の花、南部は梅の花とミカンの木、仏手柑と呼ばれるかんきつ類の一種などが、テトを彩る代表的な植物です。

テトは、伝統的に家族や親戚が集まって楽しく過ごす時期です=写真㊤。また、この時期に新年のあいさつのために、親戚や友だち、先生のお宅などを訪問します。お寺を訪問したりするほか、長い休暇を活用して遠方に旅行に出かけ、春の景色を楽しんだりすることも最近では増えました。

休暇が明けて人々は仕事に戻りましたが、職場にはまだテトの名残があります。人々は会社などで、お互いに新年のあいさつをし、新しい年の幸せを祈る風習があるからです。

お寺や神社を訪問し、新年の幸せを祈るのも、ベトナム人のテトの習慣です。こちらは、テトの休暇中はもちろんですが、テト後、旧暦1月いっぱい続きます。

私が新年の参拝に行ったのは、ベトナム東北部クアンニン省とバクザン省の境にあるイエントゥの寺院群です。

昔、チャン・ニアン・トン王という人物が、王の位を捨てて仏僧としてここで修行し、多くの寺を建設したと伝えられています。この王は、イエントウ山の竹森で修行中、竹が体を貫通して仏様になったのだそうです。

バクザン省との境にある海抜1068メートルのイエントゥ山の頂上にはドン寺があり、バクザン省側からは頂上へ登るケーブルカーも設置されていました。

ハノイ市中心部のホアンキエム湖周辺も、テトの時期、ベトナム人だけでなくおおぜいの外国人観光客が訪問し、にぎやかな新春の雰囲気に包まれていました。

タイ湖(西湖)の寺や文廟=写真㊦なども、多くの人々が参拝に訪れました。


タイ湖(西湖)の寺

ベトナムは、長い歴史を持ち、全国各地に寺や神社がたくさんあります。最近ではスピリチュアル観光なども盛んになっており、新春から1カ月ほどは、どの神社もにぎわいそうです。この時期にベトナムに来るなら、ぜひ、テトの参拝に行ってみてください。