就職活動で自信を持てる大学生とは!? 和歌山大学経済学部 厨子直之研究室(ゼミ)の研究成果

厨子直之先生 おはようございます。大学1回生、これから就職活動を迎える大学生のみなさん、保護者の方にぜひ聞いていただきたいと思います。今日のテーマは、「就職活動で自信を持てる大学生は、どのような学生生活を送っているか?」です。

まず、今日のキーワードである“自信”は、心理学の学術用語では「自己効力感」と呼ばれています。心理学者のバンデューラが提唱した概念です。具体的には、「成果を生み出すのに必要な行動をうまくできる確信の度合い」のことです。このような確信度の強い人は、弱い人より困難な目標を設定し、目標達成に向けて行動を熱心に継続するため、高い成果をあげることができると言われています。そのため、人のマネジメントを考えるうえで、重要なキーワードの1 つとされています。

これまで学生のキャリア形成に影響を与える要因に関して、いくつかの研究が積み重ねられてきました。まず、発達心理学の視点では、価値観などの個人差が学生のキャリア形成に影響を与えているということが示されています。

また、教育学の視点では、キャリア関連の講義やセミナー、大学での授業や資格取得のためのセミナーが、学生のキャリア意識を高めることが示されています。さらに、社会学の視点では、家族との関わり、学校の先輩や友人との関係が、学生のキャリア形成に影響することが示されています。

学生が実際の仕事に取り組むことを通じたキャリア形成効果に注目した研究は少ないことに着目して、大阪大学の関口倫紀(せきぐち・ともき)先生は、西日本の国立大学2校に所属する123名の大学生を対象に、就職活動における自己効力感に影響する要因をアンケート調査によって明らかにされています。

分析の結果、「アルバイトで求められるスキルの多様性が高いアルバイトをやっている大学生ほど」、「アルバイトの仕事に主体的に取り組んでいる大学生ほど」、就職活動での自己効力感が高いということが実証されています。

しかし、大学生の活動経験はアルバイトだけではありません。多くの大学生が行っている活動は、アルバイトのほかに、「大学の講義」、「部活動」があります。そうした活動は、就職活動における自己効力感と関係あるのでしょうか? アルバイトの経験が重要であるとしても、その他の活動との比較をしてみないと確かなことは言えないでしょう。

次回から、厨子研究室で実施したアンケート調査の結果をもとに、大学生の活動と就職活動における自己効力感の関係について紐解いていきます。

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